薬学研究科

薬科学専攻(前期)_生理学講座

薬学研究科博士前期課程 薬科学専攻 医療領域

生理学講座
Laboratory of Physiology

職位

氏名

大学院担当科目

教授

加園 恵三

博士論文研究、生理学演習、薬物治療学特論、薬物治療学特論演習、医薬品安全性学特論

准教授

大竹 一男

 


研究内容

生活習慣病およびその合併症の発症とそれらの進展機序を明らかにして、新たなる発症予防方法と治療法の確立を目的とする。特に、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化症などの発症メカニズムを解明し、病態進展の原因となる因子を特定した上で、これらの悪化要因を解除する薬物や栄養成分による予防および治療についての検討を行っている。

生活習慣病である糖尿病や脂質異常症を伴うメタボリックシンドロームは現在増加の一途を辿っている。これらの疾患における合併症の多くは血管機能障害に関連し、血管機能障害が腎機能障害、網膜症、高血圧および動脈硬化症などの主原因となる。血管機能障害に起因する合併症の予防や治療における新たな方法を確立するために、糖尿病やメタボリックシンドロームにおける血管機能障害の発症メカニズムを検討することは重要である。さらに血管機能障害に対して、より効果的な予防および治療法を確立することで、重篤な合併症を防ぎ、患者のQOLの上昇に寄与することが可能になる。

このような背景から当講座では、糖尿病や脂質代謝異常症等の生活習慣病における血管機能障害に関するメカニズムの解析や予防・治療に関する検討を行っている。また、女性が男性より心血管疾患のリスクが少ないことに着目し、血管機能障害における性差の研究も行っている。さらに生活習慣病ではがん発症リスクが高いことにも注目し、生活習慣病モデルの動物を用いて以下の検討を行っている。

(1)血管機能障害についてマグヌス装置を用い、血管収縮および弛緩反応を解析する。

(2)血管機能障害のメカニズムについて、たんぱく質レベルと遺伝子発現レベルでの解析を行い、性差についても検討する。

(3)上記の実験系を用いて、血管機能障害に対する治療薬および予防・治療効果のある食品成分を検討する。

(4)生活習慣病におけるがん発症リスク増大のメカニズムについて、たんぱく質レベルと遺伝子発現レベルで解析する。

食品成分では特に、n-3系多価不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸;EPA、ドコサヘキサエン酸;DHA)、一価不飽和脂肪酸(パルミトオレイン酸)の作用に注目し、以下のような検討を行っている。

(5) n-3系多価不飽和脂肪酸の血管機能障害の予防および治療効果について

in vivoではストレプトゾトシンによって誘発された糖尿病マウスにエイコサペンタエン酸(EPA)含有食を与えて、大動脈の収縮および弛緩作用に及ぼす長期効果を検討している。

ex vivoではマウスから摘出した大動脈にEPAを含有した潅流液を流して、大動脈の収縮および弛緩作用に及ぼすEPAの短期効果を検討している。

in vitroでは血管内皮細胞(初代培養系)を用いて、種々の脂肪酸の内皮細胞機能、内皮細胞に対する障害(傷害)作用と保護作用などに対する作用を検討する。

(6)n-3系多価不飽和脂肪酸およびパルミトオレイン酸の栄養代謝に及ぼす効果について

これまでに我々は魚油の栄養代謝に及ぼす作用を詳細に検討してきた。その過程で、個々の脂肪酸の生理活性にも注目し、EPA、DHA以外にパルミトオレイン酸にも脂質代謝改善効果のあることを見出した。また、EPAやDHAの栄養代謝への作用はPPAR-α、PPAR-γを介した作用だけでなく、これらの各受容体の活性作用とは独立した作用のあることも見出した。現在は、種々の脂肪酸の生理活性を肝臓細胞(HepG2など)、脂肪細胞(3T3-L1)、膵臓ベータ細胞(MIN6など)を用いた細胞実験で追及している。飽和脂肪酸によるアポトーシス誘導および一部の不飽和脂肪酸によるアポトーシス阻害作用、種々の脂肪酸によるアディポサイトカインやインスリンの産生および分泌調節のメカニズムを種々の代謝阻害薬を利用しながら研究している。

業績(主な業績3報)

1.Sachiko Shiba, Nobuyo Tsunoda, Masaki Wakutsu, Etsuko Muraki, Mariko Sonoda, Phyllis S.Y. Tam, Yoko Fujiwara, Shinji Ikemoto, Keizo Kasono, Regulation of lipid metabolism by palmitoleate and eicosapentaenoic acid (EPA) in mice fed a high-fat diet, Biosci Biotechnol Biochem., 75(12): 2401-2403, 2011

2.Takenouchi Y, Kobayashi T, Taguchi K, Matsumoto T, Kamata K. Gender differences in vascular reactivity of aortas from streptozotocin-induced diabetic mice. Biol Pharm Bull. 2010; 33(10): 1692-7.

3.Masaki Wakutsu, Nobuyo Tsunoda, Sachiko Shiba, Etsuko Muraki, Keizo Kasono, Peroxisome proliferator-activated receptors (PPARs)-independent functions of fish oil on glucose and lipid metabolism in diet-induced obese mice. Lipids Health Dis., 9: 101-, 2010

4.Takenouchi Y, Kobayashi T, Matsumoto T, Kamata K. Gender differences in age-related endothelial function in the murine aorta. Atherosclerosis. 2009; 206(2): 397-404.

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