薬学研究科

薬学専攻_薬品作用学講座

薬学研究科博士課程 薬学専攻 生体防御領域

薬品作用学講座
Laboratory of Pharmacology

職位

氏名

大学院担当科目

教授

岡﨑 真理

生体防御特論,生体防御特論演習,薬品作用学演習,博士論文研究

助手

松崎 広和

 

研究内容

生体と物質との相互作用を、薬理学的手法をはじめとした種々の研究方法により総合的に検証し、疾病の発症メカニズム解明と薬物治療の確立を目指す。特に、酸化ストレスと虚血性脳機能障害、情動調節異常との関連性を明らかにし、疾患の病態解明を行うとともに、食品成分などの天然物を利用した創薬または育薬に応用する。

○ 脳血管疾患と酸化ストレス

近年、生活習慣病を含む様々な疾患の発症原因として、酸化ストレスの関与が示唆されている。活性酸素種(ROS)の産生と抗酸化防御システムのバランス異常により、体内の酸化ストレス度が上昇すると、タンパク質、DNA、脂質が酸化ダメージを受け、細胞機能が障害される。なかでも脳は、酸素消費量が多くROSが発生しやすいため、酸化ストレス障害を受けやすい組織であるとされている。脳梗塞を含む脳血管疾患は、その患者の70%以上に運動障害や言語障害の他、摂食・嚥下障害などの何らかの後遺症が生じ、介護が必要となる原因疾患の第1位となっている。嚥下障害は、食物摂取障害により栄養低下を引き起こすとともに患者のQOLを著しく低下させ、誤嚥性肺炎による死亡リスクを上昇させる。また、日本における認知症の罹患者は約200万人と推定されているが、認知症の原因の約半数は脳血管疾患に起因しているとされている。このような脳血管疾患における虚血性脳障害メカニズムには、主たる要因として酸化ストレスが関与していることが知られている。

○抑うつ・不安障害と酸化ストレス

うつ病は、抑うつ気分や興味・喜びの喪失などの精神症状を主症状とする疾患であり、現在その患者数は増加傾向にあり、予防および治療対策が望まれている。しかし、うつ病の発症メカニズムや病態生理については数多くの研究がなされているにも関わらず、未だ不明な点が多い。うつ症状の発現メカニズムとしては、従来「モノアミン仮説」が提唱されており、抗うつ薬としてシナプス間隙のモノアミン濃度を上昇させる薬物が汎用されている。第一選択薬として選択的セロトニン(5-HT)再取り込み阻害薬、その他5-HT・ノルアドレナリン(NA)再取り込み阻害薬や三環系抗うつ薬など5-HTやNAをターゲットとした薬物が用いられているものの、約3割の患者にはこれらの薬物が無効であることが報告されている。したがって、うつ病の発症メカニズムおよび病態を解明し、より効果的な治療法を開発するためには、モノアミン仮説とは異なった新しい視点からの研究アプローチが必要であると考えられる。近年、心理的ストレスが体内でROSの産生を促進することが報告されている。脳梗塞における虚血性脳障害メカニズムには、主たる要因として酸化ストレスが関与していることが知られているが、脳梗塞患者においても、うつ病の発症が高頻度で見られる。また、我が国を含む先進国において大きな問題となっている糖尿病では、持続的な高血糖状態が体内の酸化ストレス度を上昇させ、病態の進展や増悪を生じさせることが報告されている。糖尿病の合併症として主に自律神経や知覚神経等の末梢神経の機能障害が知られているが、近年は、酸化ストレスの関与を示唆した中枢神経機能障害に関する報告も増えている。糖尿病患者では食事制限によるストレスもあり、うつ状態・うつ病を併発する割合が高く、これにより治療に対する意欲が低下し病状が悪化するなど臨床上問題となることも多い。このように、心理的ストレスが原因となって発症するうつ病をはじめ、疾患に合併するうつ病の発症・進展に酸化ストレスの関与が予想されるものの、その詳細については未だ明らかではない。

○当講座の研究テーマ

以上のことから、当講座ではこれら中枢神経系の機能障害メカニズムにおける酸化ストレスの関与を検証するとともに、優れた抗酸化作用をもつ新規物質を探索し、その有効性と安全性とを科学的に検証することを目的としている。研究のテーマとしては、次のようなものがある。

・慢性脳低灌流モデルにおける嚥下反射機能障害メカニズムの解明と新規抗酸化物質の嚥下障害改善効果に関する研究

・情動に関与する脳内神経回路の解明と新規抗酸化物質の効果に関する研究

・記憶学習障害モデルを用いた新規抗酸化物質の効果に関する研究

業績(主な業績3報)

1.Naohiro Iwata, Mari Okazaki, Rika Nakano, Chisato Kasahara, Shinya Kamiuchi, Fumiko Suzuki, Hiroshi Iizuka, Hirokazu Matsuzaki, Yasuhide Hibino, Diabetes-mediated exacerbation of neuronal damage and inflammation after cerebral ischemia in rat: Protective effects of water-soluble extract from culture medium of Ganoderma lucidum mycelia, In Advances in the Preclinical Study of Ischemic Stroke, edited by Maurizio Balestrino, InTech, 215-240, 2012.

2.Hirokazu Matsuzaki, Takeshi Izumi, Takahiro Horinouchi, Shuken Boku,Takeshi Inoue, Taku Yamaguchi, Takayuki Yoshida, Machiko Matsumoto, HirokoTogashi, Soichi Miwa, Tsukasa Koyama, Mitsuhiro Yoshioka, Juvenile stressattenuates the dorsal hippocampal postsynaptic 5-HT1A receptor function inadult rats. Psychopharmacology 214: 329-37, 2011.

3.Naohiro Iwata, Mari Okazaki, Shinya Kamiuchi, Yasuhide Hibino, Protective effects of oral administered ascorbic acid against oxidative stress and neuronal damage after cerebral ischemia/reperfusion in diabetic rats, J. Health. Sci., 56: 20-30, 2010.

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