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情報科学研究センター広報


情報科学研究センター広報
- Information Science Research Center News -
2023.5.22 Vol.29 No.1
情報科学研究センター

写真:広報課提供

巻頭言

情報科学研究センター
所長 福田 光良
2022年度は前年度から続く新型コロナウイルス感染症の感染再拡大が憂慮される状況で始まりました。前年度を超える第7波が想定される中で、2年間の間に得られた知見を基に対策を実施した上で前年度に引き続き入学式を総合体育館で挙行し、新入生を迎えて坂戸キャンパスでは授業が始まりました。
前年度からの対面授業の実施に加え、部活動も再開し、在学生・新入生の皆さんで坂戸キャンパスはコロナ禍以前の賑わいを取り戻しつつあります。
学内では23号館の2期工事に伴い、思い出に包まれた城西大学1号館の解体が始まりました。1965年の開学当時から大学を見守ってきた建屋がまた一つ姿を消すのは名残惜しく感じられます。
その一方で、23号館は工事の進行に伴い様々なスペースが開放されつつあり、落ち着いた環境で勉学に集中したり、集合スペースでディスカッションに励んだり、あるいは食事をしたりと、多くの学生が思い思いに活用する姿が見られています。2023年度には竣工し、カフェを備えたオープンスペースやオンライン就活に活用できるブースが開放される予定であり、新たな学び舎での学生の更なる躍進が楽しみに思われます。
さて、情報科学研究センターでは2023年4月からの新教育研究システム運用に向けた更新作業が始まっております。コロナ禍において各大学で導入が活発化したオンライン授業については、課目や提供方法によっては高い教育効果を発揮することが各大学の報告から明らかとなっており、対面授業との共存による柔軟な授業展開を視野に機材や環境の整備を進めております。
また、昨今多くの大学・企業で問題となっている情報セキュリティリスク対応の観点から、学生・教職員の使用するPCのウイルス感染対策を目的として、トレンドマイクロ社との包括ライセンス契約の締結を見込んでおります。
加えて、高いセキュリティ性を持ったオンラインファイル共有サービス「Box」の導入に向けた検討作業も開始しており、より安全な環境下でオンライン活動を行うことができる環境整備を推し進めてまいります。
情報科学研究センターでは、今後も情報化の推進と、より便利で快適な情報環境の提供に努めてまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

情報教育システム(SCNL2018)の教育効果

経済学部

経済学部では、コンピュータ・情報技術関連の授業を入門・初級レベルから中級レベル、資格・検定試験対策レベルまで段階別に設置し、講義およびPC実習を通じた情報教育を実践している。
入門・初級レベルの授業には、「コンピュータ・リテラシーⅠ・Ⅱ」「情報技術Ⅰ・Ⅱ」があり、これらはPCやインターネットに関する予備知識を持たない学生を対象としている。中級レベルの授業には、「情報技術Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ」「表計算ソフトによる数量分析」があり、基本的な知識やスキルをすでに身につけた学生が各種ソフトウェアを利用しながら、さらなるステップアップを目指す内容となっている。また、資格・検定試験対策を行う授業としては、ITパスポート試験のための「IT論Ⅰ・Ⅱ」のほか、基本情報技術者試験を目標とする「情報学特講Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」「情報技術Ⅶ・Ⅷ」「IT論Ⅲ・Ⅳ」が設置され、毎年多くの合格者を出している。
上記のような情報教育を目的とした授業に加えて、経済学の実証分析を扱う授業においても、PC上で操作可能な各種ソフトフェアの利用が進んでいる。例えば、統計学や計量経済学、その他応用経済学分野の授業では、データの整理や統計処理、計量分析の実習のために表計算ソフトのMicrosoft Excelや統計パッケージのStata、Rなどが活用されている。現実のデータを使ったPC実習は学生たちの積極的な授業参加を促し、学習効果も上げている。
必修のゼミナール(セミナー)の授業においても、研究発表や学外討論会のプレゼン資料の作成のためにMicrosoft PowerPointが使われ、またレポートや卒業論文の執筆のために「日経テレコン」「聞蔵Ⅱビジュアル」「ヨミダス歴史館」「日経BP記事検索」「東洋経済デジタルコンテンツ」「ダイヤモンドデータライブラリ」といった新聞・雑誌記事検索データベースが活用されている。
近年では、1年次配当の「コンピュータ・リテラシーⅠ・Ⅱ」の指導内容をやや高度化し、PC操作に関する一般的な資格であるMicrosoft Office Specialist(MOS)検定対策のための知識・スキルも扱うようになっている。また、2020年度新設のデータサイエンスコースでは、プログラミングなどAI(人工知能)・データサイエンス分野の教育をスタートさせている。その他の科目についても、情報技術関連の資格・検定合格を目指す学生のニーズに対応して、授業内容・レベルの改善や配当年次の変更などを柔軟に行っている。
なお、2022年度には坂戸キャンパスに23号館が新設され、PC演習室(310・413教室)が講義やゼミの授業に活用されている。

現代政策学部

現代政策学部では、コンピュータ関連科目として、2022年度は「コンピュータ・リテラシーA・B」、「プログラミングA・B」、「情報学概論A・B」、「情報セキュリティ論」、「情報通信政策論」、「地域情報化論」を開講した。
「コンピュータ・リテラシーA・B」については、すべての学生に一定レベルの基本的なスキル・知識・モラルを身につけてもらうため、2020年度より学部必修科目となった。また、より効果的なコンピュータ・リテラシー教育を実現するため、2007年度からレベル別クラス編成を導入しており、今年度も引き続き実施した。入学後に「コンピュータの基礎知識に関する確認テスト」をWebClassのテスト機能を使用し実施し、その成績に応じてクラスを分けた。
2022年度も引き続き、前期の「コンピュータ・リテラシーA」においては、主にSCNLの利用、PowerPoint(プレゼンテーションソフト)・Word(ワープロソフト)の基本的な操作方法と機能の修得を目指した。後期の「コンピュータ・リテラシーB」においては主にExcel(表計算ソフト)の基本的な操作方法と機能・利用方法の習得を目指した。前年度と同様に、中学・高校でOffice系ソフトに触れる機会が多かった学生が以前と比べると増えてきており、上位クラス及び中位クラスの一部の学生にとっては、共通の教科書に沿った授業内容では進度が遅すぎる傾向が出てきた。そこで、 2015年度より、上位クラスについては、基本操作については共通の教科書を利用したが、より応用的な課題を毎週の授業内で提示して、学生が考えながらそれに取り組むなど工夫を施した。今年度は、より応用的な課題への取り組みを強化し、学部共通の教科書を用いながらも、レベル差に対応できるように改善した。
一方で、コンピュータにほとんど触れたことのない学生もまだ存在しているため、下位クラスについてはできるだけ共通の教科書に沿って、重要な操作を繰り返しレクチャーすることで、ソフトウェアの一定レベルの使いこなしを習得することを目指した。このようにレベル別クラス編成によって、それぞれの学生たちに合わせたコンピュータ・リテラシー教育を実施することができた。また初年次教育を担う「フレッシュマンセミナー」でも学生のPCスキル向上に各教員が努めており、細かやなIT教育が展開されている。
2009年度から導入されたe-learningシステムであるWebClassについては各教員が工夫をしながら活用をすすめてきたが、数年間のオンライン授業の経験を踏まえ、目的や内容に合わせた幅広い活用が見られた。具体的には、すべての授業(講義系・実習系・セミナー系含む)において、資料掲載、出席確認、試験・課題を実施した教員や、試験の正答を試験日翌日にWebClassで公開したり、学生の提出課題を配布資料として他の学生に参照できるようにしたりするなど、学生へのフィードバックを目的とした活用法が挙げられる。オンライン授業だけではなく対面授業においてもWebClass掲示板機能を用いるなどしてアクティブラーニングを展開した。
授業評価アンケートを2017年度後期より一部授業、2018年度より授業評価の対象全科目でWebClassを使用し実施している。さらに、2018年度より留学に関するアンケート調査、留学中のファイル共有についてWebClassを使用し実施した。
また、2021年度より現代政策学部はWebclassの修学カルテを積極的に用いており、学生の修学状況の多面的把握に努めている。修学カルテの有効活用に関する学部FDもおこない、個人個人の学生に寄り添う形で教育活動を展開できる基盤を現代政策学部では整備している。

理学部

数学科

数学科では、坂戸キャンパス・紀尾井町キャンパス共に情報系科目を多く開設しており、そこではコンピュータを用いた演習が教育の中に取り入れられている。
例えば、1年次の専門科目「計算機入門Ⅰ・Ⅱ」では、UNIXやプログラミングの入門的教育を行っている。2年次の「計算機数学A・B」および「プログラミングⅠA・ⅠB」で専門的教育が始まり、3・4年次の「プログラミングⅡA・ⅡB」、「実用アルゴリズム論A・B」、「情報数学A・B」、「暗号理論A・B」、「符号理論A・B」、「応用数値解析Ⅲ」、「情報研究Ⅲ」、「情報システム論Ⅲ」、「数理モデル論Ⅲ」に続く一貫した情報教育カリキュラムを組んでいる。
また、専門科目の「コンピュータによる統計」、「数式処理による解析」「数式処理による代数A・B」では、Excelおよび統計解析ソフトRを用いたデータ処理や、数式処理ソフトMapleを用いた解析学・代数学のコンピュータ演習を行っている。具体的な使用例や教育効果をあげてみると、「数理モデル論Ⅲ」においては、通常教室で行う数値解析の理論的な講義内容を基に、C言語によるプログラミング実習を実施して、受講生に深い理解と技術の習得をうながしている。
(* 一部科目は片方のキャンパスでのみ開講)
WebClass・Teamsは情報系科目に限らず、数学科の多くの科目で出席確認、オンデマンド教材・講義資料・授業スライド・演習プリント等の提示、レポート課題の提出、オンライン試験実施などに積極的に活用されている。加えて、Zoom等のオンライン会議システムによる配信も利用されている。
また、数学科では、新入生対象の「入学前指導」のため、WebClassを利用している。毎年、推薦入試および指定校推薦合格者に対してレポートを課しており、送付したレポート課題や解答用紙をWebClassからも閲覧・ダウンロード可能にするとともに、解答のヒントなども提示している。また、全新入生に対して、テスト・アンケート機能で微積分の確認ドリルを実施している。レポート提出率は今年度もほぼ100%で、LMS導入後は正解率も向上しており、その効果がうかがえる。

化学科

化学科では1年次の「コンピュータ・リテラシーⅠ」を基礎に、2年次には専門科目「情報科学序論」および「コンピュータ入門」でExcelを用いた実験データの処理、3年次には「情報科学Ⅰ」でC++言語入門、「情報科学Ⅱ」でVisual Basicによるグラフィックスプログラミングを学ぶ科目が設置されている。また「物理化学実験」では計算機実験としてExcelマクロを用いたヒュッケル分子軌道法による分子軌道計算ならびに軌道の等高線表示を行っている。このような基礎的情報教育を通して、以下に掲げる4項目の能力を養っている。
  1. 化学の信頼できる情報の所在等を理解し、必要な情報を収集できる。
  2. 収集した情報を整理し、資料作成に適切に活用できる。
  3. 分子構造を描画できる。
  4. 実験データの整理、統計処理、図示ができる。
また、習得した知識および技能を、実際に学生実験のデータ整理やPC上で有機化学実験の反応を構造式作図による学習等に活用している。このことにより、情報活用能力の育成とともに、マクロ実験では理解が困難な現象についても理解度が向上する等効果が見受けられる。この他、一般の授業においても、WebClassまたはTeamsを用いた電子教材の提示が行われ、授業の理解度を深める工夫がされた教材により、高度な内容の理解を容易にしている。一部の学生実験ではSDG’sの観点からレポート提出・返却がWebClassで行われており紙資源の節約に寄与している。
4年次の「卒業研究」においては、化学計算ソフトChemDraw、Gaussian等を用いた複雑な分子構造の決定や分子間の相互作用の研究、電子・原子・分子の運動のシミュレーションプログラム作成と表示、NMRスペクトル・赤外スペクトル等のスペクトルデータの表示とその解析方法・帰属方法のプログラム作成と活用等に情報機器が利用されている。さらに、「卒業研究」では、卒業研究報告書の作成にExcelやR等のグラフ表示やその他ソフトによる化学構造式表示等で情報機器が活用されている。卒業研究発表会では全員がPowerPointを用いており、プレゼンテーション能力の開発に充分効果がうかがえる。
本年度もコロナ禍で一部の講義がリモート講義で行われた。23号館ではWi-Fiの設備およびフリースペースでの椅子・机が整っているため館内で視聴する学生が多く見られた。

薬学部

薬学科

本年度もコロナ禍の影響を受けて、一部の授業や演習において、Zoomによるリアルタイム配信のオンライン授業、あるいはMicrosoft Streamによるオンデマンドによるハイブリッド授業が実施された。即ち、授業科目において、原則対面で実施し、登校出来ない学生や、語学やスモールグループディスカッション(SGD)等常時多くの学生が言葉を近い距離で発しなくはならない形態において、Zoomによるリアルタイムオンライン、あるいはMicrosoft Streamによるオンデマンドによるハイブリッド授業が行われた。
授業では、Microsoft Teamsによるレポート課題の提示や提出、 WebClassを活用してのオンライン授業の出席管理、演習やレポート提出が行われた。また、薬剤師として求められる基本的な資質に関する学生自己評価ではWebClassのe-ポートフォリオ機能を使用し、学生の意識や活動等に対するアンケート調査にMicrosoft Formsを併せて使用した。チーム活動を取り入れた一部の演習科目ではOneNoteを活用し、Zoomによるリアルタイムの議論を共有するためのツールとして用いた。加えて、Microsoft Teamsによる研究室内でのデータの共有や情報のやり取り、さらに学生教育をサポートするための教員の委員会活動でもMicrosoft Teamsが活用されている。
情報科学リテラシーは、主に1年次の前期「フレッシュマンセミナーA」で行われている。最初に、(1) 情報倫理についての注意、(2) 大学内のコンピュータの使い方、(3) メールやインターネットの使い方、(4) WebClassなどの教育支援システムの活用の仕方、(5) ポートフォリオを用いた学習記録法などを学ぶ。次に簡単なWord、Excelの操作も学ぶ。ここまでは必修であり、全員が基本的な操作ができるものとして、授業で出された課題に対するインターネットでの調査、WebClassを用いた各教科からの演習問題への解答、実習でのグラフ作りやレポートの作成等にコンピュータは日常的に使われている。
選択科目としては、2年次の「情報科学」という集中講義(演習も含む)の中で、Word、Excelに加えて、PowerPointの活用を本格的に学習する。
実習関係では、「薬学実習A・B」(1年次)、「薬学実習C」(2年次)、「薬学実習E」(3年次)、「薬学総合実習演習B・C」「実務実習事前実習」(4年次)など、それぞれで、実験結果の解析、薬理作用に関するコンピュータシミュレーションや薬歴管理システムなどを学んでいる。
また、5年次生の学外実務実習を行う前に、薬学共用試験として「知識および問題解決能力を評価する客観試験(CBT:Computer-based Testing)」の合格が4年次で要求されている。そして、今年度で13回目のCBTが21号館と18号館のコンピュータを総動員して行われた。さらに、CBTを含めた薬学共用試験の結果の個別発表をWebClassで行っている。
5年次の学外実務実習は全てWebシステムを使って管理している。具体的には学習の進捗状況の入力、実習日誌の入力、教員との連絡はすべてコンピュータあるいは個人のデバイスを用いて行っている。その他、任意ではあるものの多くの学生は、症例検討の発表の準備のための資料収集およびプレゼンテーションなどにコンピュータを活用している。
さらに、6年次の卒業研究でも、論文作成のために、コンピュータを使って情報を収集し、SAS (Statistics Analysis System)やExcelで実験結果を集計し、Wordを使ってレポートにまとめ上げている。集大成としての卒業研究の発表会では、全学生がPowerPointを使って、Zoomミーティングを用いて学内で発表を行った。また、2年次~4年次後期には、国家試験を見据えた各前学年次までの総復習である「薬学総合演習A」、「薬学総合演習B」、「薬学総合演習C(Ⅲ)」の内外、および6年次には、国家試験に向けた6年間の総復習である「薬学総合演習D」の中外で、WebClassを活用し、知識の定着・確認をしている。加えて、「薬学総合演習A・B」では、インターネットから情報取集し、PowerPointによる発表会を実施している。
薬学専攻の大学院生の教育研究においても、「薬探索特論」、「薬物治療学特論」などの講義や、研究テーマに関して、文献調査(PubMedやSciFinderなど)、実験結果の集計、統計処理や解析(Excel統計、R、SASやSPSS)、表やグラフの作成(Excel)はもとより、報告書作成、発表媒体の作成・プレゼンテーションなどに、PCを駆使している。

薬科学科

1年次の「フレッシュマンセミナー」で一通りのコンピュータリテラシーを修得した後、インターネット検索により医薬品、化粧品、健康食品の安全性についてまとめ、PCによりプロダクツを作成してプレゼンテーションを行っている。また、同じくインターネット検索により、企業研究を行い、将来の進路ならびに就職活動へのイメージづくりを行っている。本年度は対面でグループディスカッションと発表を行った。
2年次には、薬理学の授業の中で、コンピュータシミュレーションを使用して、薬理作用の理解に利用されている。また、「薬科学実習C」では、実習で得られたデータを表計算ソフトExcelを用いて図表化する事で、使用方法を習得している。
3年次の「薬科学実習E」では、自然科学分野のデータ解析に必須である統計解析手法を修得するため、統計解析ソフトウェアのSAS (Statistics Analysis System) の使用法を学び、実際に実習での実験結果を解析している。3年次の「薬科学実習F」からは、研究室に配属され、卒業実験での研究内容についてプレゼンテーションをしている。
4年次には卒業実験として、文献検索、卒業実験論文作成、卒業実験発表媒体の作成・プレゼンテーションなどに、1~3年次に修得した知識技能を駆使して、コンピュータを活用している。卒業実験発表会では、全員がオンラインでPowerPointを用いてプレゼンテーションを行なった。
その他、学部の講義でもWebClassをとおして講義資料の公開、確認試験、レポート提出を行い、授業アンケートも実施し、各教員へのフィードバックも行なっている。本年度の講義は、ほぼ対面で実施されたが、昨年度利用したWebClassを引き続き活用した講義がほとんどであった。
大学院の講義でも化合物の安定性や反応性の計算結果を3次元的にコンピュータ表現するなど、大いにコンピュータを利用している。また、最新の病気や薬の情報は活字となる前にインターネットで公開されている場合が多く、コンピュータを使って情報を収集し、Wordを使ってレポートにまとめ上げている。さらに、集大成としての修論の発表会では、全院生がオンラインでPowerPointを使って発表した。

医療栄養学科

1年次配当の「栄養情報科学演習」の教育目標は「情報の収集、整理、提供を効果的に行えるようになるために、基本となるソフトウェアの取扱いや使用、インターネットを利用した情報の収集、開示、各種データベースの使用法に関する基本的知識と技能を身につけること」である。その目標を達成するたにワープロソフト(Word)、表計算ソフト(Excel)、プレゼンテーションソフト(PowerPoint)、Web閲覧ソフト(Edge)、Webmail、WebClassなどの教育支援システムを中心に基本的使用法とその応用を演習により修得している。また、上級学年における栄養計算の基礎を学ぶ目的で「エクセル栄養君」による献立作成と栄養計算の演習も取り入れている。さらに、専門職としての情報発信の重要性について理解し実践できるための新しい内容を取り入れている。具体的にはhtmlの基礎を学びホームページ作成や、効果的なプレゼンテーションの手法を学ぶと共にPowerPointの動画機能などを使った内容に取り組んでいる。
2年次以降、「栄養情報科学演習」で身につけた基本技能の応用として上位学年配当の「栄養教育論A・B」及び「栄養教育論実習」や「給食経営管理実習」での栄養評価または献立の評価のための栄養計算に活用したり、患者への栄養教育のための情報収集や資料作成の演習に応用したりすることで、実践での応用力も身につけられるよう配慮されている。また、「解剖生理学実験B」では、自ら行なった薬理実験から得られたデータを使って、統計処理(Excel統計)やグラフ作成(Excel)を行ないデータの科学的分析と評価の基礎を学んでいる。
各研究室に配属した4年生の卒業実験や医療栄養学専攻の大学院生の教育研究においても、研究テーマに関する文献調査や実験結果の集計、統計処理や解析(Excel統計やSPSS)、表やグラフの作成(Excel)にPCを駆使している。最終的には卒業研究あるいは修士論文発表では全ての学生がPowerPointを使用して、わかりやすい効果的な発表が出来るようになっている。
また、薬学部教員によって作成され、インターネット上で公開されている「食品‐医薬品相互作用データベース」や「抗がん剤と食事の相互作用・禁忌食品データベース」を利用した教育も行われている。データベースの内容を利用した学習もさることながら、教育活動の一環としてMEDLINEなどの医学系論文検索サイトで新たな相互作用の報告を自分で検索して、原書を入手してその内容からデータベースレコードを作成することにも挑戦している。これらの作業を通して、情報の利用にとどまらず自ら情報を発信するための知識と技能をも身に付けられている。

短期大学

1. 13号館のPC演習室とその利用状況について

本年度は前期・後期を通じて対面授業を原則とした。感染予防対策のため配慮した運用を心がけた。
3号館における2022年度のPC演習室を表1に示した。各演習室のPC設置台数とインストールされているソフトウェアは、昨年度と同様である。
表1 13号館のPC演習室の概要(2022年5月現在)
演習室 PCの台数 主なソフトウェア 備考
401 40台 MS Office、Visual Studio PC演習室
403 40台 MS Office、Visual Studio PC演習室
412 20台 MS Office、Visual Studio PC演習室
409 6台 Adobe Premiere、Photoshop マルチメディア室
401、403教室は情報リテラシー教育とデザイン演習などのメディア教育に利用されている。短期大学の授業以外に現代政策学部等の授業にも活用されている。409教室はAdobe Premiereがインストールされているように、映像処理などに特化した教室である。412教室は主にオープンルームとして、短期大学生、別科留学生、学部学生に利用されているが、授業でも利用されることがある。例年401教室および403教室でMOS検定などのJUキャリアラウンジの各種講座で活用される。

2. PC演習室を利用した2022年度開講科目とその教育効果について

(1)情報リテラシー教育における活用と効果
PC演習室を利用した2022年度開講科目を表2に示した。短期大学生全員に対する情報リテラシー教育を担っている科目が「コンピュータ演習Ⅰ・Ⅱ」である。「コンピュータ演習Ⅰ」では、はじめに電子メール、WebClass等の利用方法について学び、さらにビジネス文書作成(MS Word)およびPowerPointの操作を学ぶ。「コンピュータ演習Ⅱ」では表計算(MS Excel)について詳しく学ぶ。プレゼンテーション演習では、プレゼンテーション資料を作成し、実際に発表する(PowerPoint)。
表2 PC演習室を利用した開講科目(2022年度開講)
科目名 年次 必修/選択 使用する主なソフトウェア
コンピュータ演習I 1 必修 MS Excel, PowerPoint
コンピュータ演習Ⅱ 1 必修 MS Word, MS Excel
コンピュータ応用演習 1 選択 MS Excel, PowerPoint
初級プログラミング演習 1 選択 Visual Studio
中級プログラミング演習 1 選択 Visual Studio
ビジネスコンピューティング演習 2 選択 MS Excel
経営プログラミング演習 2 選択 MS Excel(VBA)
プレゼンテーション演習 2 選択 PowerPoint
コンピュータ会計 2 選択 MS Excel, Microsoft Edge
デザインの基礎 1 選択 Adobe Photoshop
デザイン演習 1 選択 Adobe Photoshop
映像制作の基礎 1 選択 Adobe Premiere
映像制作演習 1 選択 Adobe Premiere
(なお上記以外でもLAN・Wifiなどオンライン授業に対応した教室では、Microsoft TeamやZoomなど適宜、学習支援に利用している。)
(2)情報専門教育における活用と効果
短期大学における情報専門教育の1つの目的は、”会社の実務で使えるビジネスコンピューティング教育”である。MOS(Microsoft Office Specialist)検定試験を題材として、主にExcelを用いた高度な表計算能力とビジネス文書の作成能力の向上を主眼としている。
次に、短期大学ではプログラミング言語教育にも力を入れている。コンピュータの操作技能の向上だけにとどまらず、自らがアプリケーションソフトウェアを開発する能力がこれからの時代は求められてきている。
短期大学では、「初級プログラミング演習」および「中級プログラミング演習」を開講している。同演習では、Visual Basicを開発言語として利用し、プログラム開発能力の向上に努めている。卒業後にSE(System Engineer)として就職する学生もあり、その教育効果があると考えられる。今後、ますますこのような専門性をもった短期大学生が社会で必要とされていくことが予想される。
また、2年次開講の「ビジネスコンピューティング演習」では、MS Excelの財務関数など、実務でよく使われる関数について学んでいる。さらに、「経営プログラミング演習」では、Excel VBA(Visual Basic for Applications)を学び、種々のマクロ機能やExcelプログラミングについての演習を行っている。コンピュータ会計では、基礎的な会計実務知識の理解を、クラウド環境を利用した会計ソフトによる演習を主眼としている。
情報専門教育の3つめの柱はマルチメディア教育である。
その中の1つは画像処理に関する教育で、デザインの基礎、デザイン演習で画像処理の基本的な技能を習得し、具体的な作品の作成を行っている。
2つめは映像処理技能の習得である。映像制作の基礎、映像制作演習では、学生自らが映像の撮影・編集・書き出しなどの一連の作業を行い、作品を制作しており、映像処理に必要な全ての技能を習得している。
他にプレゼンテーションソフトウェア(PowerPoint)による資料・発表により基礎的技能を習得している。

2022年度センター活動の概要

2022年度の情報科学研究センター活動としては、教育研究システム(仮称:SCNL2023)の更新に向けて、情報科学委員会委員の先生方のご協力のもと、各学部からの要望を聞き2023年4月1日からの稼働に向けて準備を進めました。
また、情報セキュリティ対策として、コロナ禍の授業環境や新棟(23号館)といった新環境により情報セキュリティ環境も大きく変化していることから、情報資産台帳の洗い出しを実施しました。

1. 新教育研究システム(仮称:SCNL2023)の構築に向けて

新教育研究システムでは、現システムを継承しつつ、新サービスも提供を予定しています。
1.インターネット回線速度の高速化
2021年10月より「SINET(学術情報ネットワーク)」へ接続しましたが、システム更新において機器の性能向上を行い、データ転送速度10Gbpsにし、超高速で遅延のないネットワーク環境を実現します。
2.オンライン授業の実施による授業環境の変化への対応
更新にあたり最も重視したいことは、これまで蓄積してきた対面授業とオンライン授業の特色を活かし双方の利点を活用できるシステムの提供です。さまざまな学習シーンに対応するため、板書と投影を融合した授業環境を実現し、双方向ハイブリット授業にも対応可能なPC演習室環境を構築します。
また、2021年度より進めているPC必携化(BYOD)により学生個人所有PCの学内持参が増えていることを受け、PC演習室と設置PC台数を削減し、PC演習室での個人所有PCの利用や一般教室でのPC演習を可能にする環境を構築します。
さらに、各PC演習室に設置しているプリンターを廃止し、複合機を利用したオンデマンド型プリント環境を構築し、印刷時は学生証による認証及び印刷制御により大量印刷やミスプリントを防ぐとともに、セキュリティ面も考慮した印刷システムとします。

演習室イメージ

オンライン授業・ハイブリッド授業において
臨場感ある映像を提供
双方向コミュニケーションシステムの整備

スタジオイメージ

オンデマンド授業の実施
より学習効果の高い授業映像(オンデマンド教材)を作成

3.PC必携化による演習室PC台数の削減を予定
2021年度より進めているPC必携化により、学生個人が所有するPC(BYOD)の利用を促進するため各演習室のPC設置台数を削減したいと考えております。
これに伴い、演習室内でも個人所有PCを有効に活用できる環境を構築します。

演習室設置台数(現システムとの比較)

4.統合映像プラットフォーム(Mediasite)の導入
Mediasiteは、映像配信のサーバー機能およびコンテンツ作成・公開・視聴・分析レポート・検索・編集とユーザ管理・セキュリティなど、多彩な機能を有する動画提供サービスです。
現在、学内での動画配信はMicrosoft StreamやYouTubeを中心としていますが、学習履歴や視聴分析ができないという欠点があったため、Mediasiteの導入により学習履歴の見える化を計ります。
WebClassとのシステム連携も容易にでき、ユーザが再度認証⼿続きを⾏うことなくMediasite上の動画へのアクセスが可能となります。
WebClass の資料教材にMediasite の動画URL を登録すると、配信コンテンツの簡易レポート(ユーザの視聴データ)をWebClass上で閲覧可能となります。
5.オンラインストレージサービス(Box)の導入
いつでもどこからでも個人が所有するPCからのファイル閲覧・保存を実施し、またZoom・Teamsミーティングでの容易なファイル共有を実現するため、高いセキュリティ機能を持つファイル共有環境(Box)を提供します。
学内で利用されている外付けHDDやUSBメモリについては紛失等による情報セキュリティ上のリスクが常につきまとうため、Boxを利用することにより原則禁止したいと考えます。

6.ウイルス対策ソフトウェアの導入
情報セキュリティのリスク対応の観点から、学内で使用するPCのウイルス感染による影響の低減を目的として、トレンドマイクロ社と包括ライセンス契約を締結します。
この契約により、学生・教職員個人所有のPCに、最新のウイルス対策ソフトウェアを無償でインストールすることができようになります。

2. 新入生へのPC販売の継続

オンライン授業補助とBYOD推進のため2021年度より実施している新入生へのPC販売を本年度も継続的に実施しました。
購入後のセットアップ手順等のフォローも実施しております。
また、2022年度は新入生へのPC必携化に関するアンケートも実施しました。

新入生の約半数が推奨PCを購入、購入しなかった学生も8割以上がすでにPCを持っていると回答

3. WebClassの利用状況調査

学習支援システム(WebClass)の利用状況を集計しました。
WebClassについては、新型コロナウイルス感染症が発生した2020年度は、すべての授業がオンライン授業に切り替え運用しされたこともあり、前年度(2019年度)に比べ約10倍のアクセス数を記録しました。
また授業用教材数の推移表からもわかるように、予習教材や小テストも前年度(2019年度)に比べ約7倍を示しています。
このようにWebClassは、教員、学生、すべての利用ニーズに応えていることがうかがえます。

WebClassへのアクセス数

学部別のWebClass上から提供された教材数

4. 情報資産の洗い出し作業

情報の漏えい、不正アクセス、破壊、改ざん、誤操作等によるシステム障害のニュースは連日後を絶ちません。
またコロナ禍を経た授業対応や新棟運用(23号棟)など、学内環境も大きく変化していることから、情報資産台帳の更新を実施しました。

新入生情報セキュリティテスト 実施状況

対象:2022年度新入生
集計期間: ~ 2023/1/26
問題形式:WebClassを利用、三択式、全20問
80%以上正解で合格

教職員情報セキュリティ 理解度報告書

近年、情報の漏えい、不正アクセス、破壊、改ざん、また、誤操作等によるシステム障害が後を絶ちません。このような被害に遇わないためにも、教職員及び学生のみなさんに対しても日頃より情報セキュリティの必要性・重要性への意識を高める取り組みが重要となります。
以上のことから組織全体の情報セキュリティ知識レベルの向上を目的に、日本ネットワークセキュリティ協会による情報セキュリティ理解度チェックを教職員へ実施いたしました。

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