国際教育・留学 Study abroad
ウェスタン・シドニー大学スプリングセミナー

ウェスタン・シドニー大学短期語学研修を終えて

経営学部3年 柴田凌弥
2019年9月頃から発生していたオーストラリア(以下、豪州)の大規模森林火災とそれに伴った豪雨被害によって、本研修は予定通りに行われないかもしれない、と考えていた。事実、開催が危ぶまれたように思うが、原因は違うものであった。日本出国、豪州入国はCOVID-19の影響で予断を許さない状況であった。日本出国前、日本での感染者数は416人(日本時間3月6日時点、クルーズ船乗船者含まず)、豪州では52人(日本時間3月5日時点)であった。豪州政府が3月5日より、それまで行っていた中国、イランからの入国制限措置の対象に韓国を加えることを発表してから、私は豪州入国の瞬間まで、日本からの豪州への入国も制限措置対象にされるかもしれない、と不安であった。

研修中、日を追うごとに事態は悪化していった。13日の豪州政府の発表から目に見えて現れたように思う。バスは運転士から距離をとるよう、最前席付近に立入禁止のテープがはられた。スーパーマーケットでは、研修前の報道で知らされていたトイレットペーパー、テッシュペーパーやパスタに加え、ベビーフードが商品棚から消えた。ホームステイ先に迷惑をかけまいと、日本からトイレットペーパーを1ロール持参してよかったと思う。パスタは一度もホストから提供されることはなかった。

 このような状況で私達が全日程を通して自由に安全に滞在でき、無事に日本に帰国できたのは株式会社アーク・スリー・インターナショナルの方々、城西大学国際教育センターの方々、研修先のウェスタン・シドニー大学の方々をはじめとする数えきれない程の多くの方々の尽力があったからである。本研修に関わったすべての人に感謝したい。
①研修で得られたもの
 『英語は目的ではなく、会話の手段であること』このことは頭のどこかで理解していたが、実際に自分の考えや気持ちを相手に伝えることの楽しさ・難しさを肌で感じると、より理解が深まった。私が直接、相手に伝えない限り、私の考えや気持ちは私以外の誰も理解し得ない。
研修中はどんな些細なことでも後から見返せるよう、多くの写真を撮った。料理、コーヒー、二階建ての電車、横断歩道前で止まる自動車、バス運転士と乗客のやり取り、エレベーターのボタン、値札、変わりやすい天気...目に映るものが全て新鮮に感じられた。豪州に暮らす人々にとっての日常は私にとって非日常であった。‘日常は他者から見たら、当たり前ではないかもしれないという視点’はこれからの生活に意味をもたらすだろう。また、テレビのニュース番組で豪州政府の発表の際、首相のそばに手話通訳士がいた。ほんの少しだけ調べてみると、手話は国や地域毎に異なるらしい。私が英語を学ぶ様に手話を必要とする人も他言語圏の手話を学ぶのだろうか。
 ホストマザーはこれまで様々な国や地域の人々を迎えてきた経験からそれぞれの生活の特徴を話してくれた。興味深い話であった。詳細は紙面の都合上、割愛させていただくが、私は主にアジア、欧州、北米州の人々を客観的に捉えた人にこれまで出会ってこなかった。主語を大きくすると、北半球を見る‘南半球人という視点’は物事を違う視点、立場で考えることの大切さを大きなスケールで分かりやすく教えてくれた。
これらのことは当たり前のことだが、それに気づけて良かった。

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シドニー
②授業・プログラムに関して
 幸運なことに、アラブ人、カンボジア人、中国人、そして日本人が在籍しているクラスに参加させていただいた。学生は最大で13人。授業時と観光時を合わせて、5人もの先生にお世話になった。授業はグループワークが主だった。もし学生が間違ったとしても、それを責めるようなことはせず、受け入れることで英語を話しやすい環境を作っていた。積極性が求められる授業。
 マンリー・ビーチに向かうフェリー内でスーザン先生と話をした。(上の写真はデイビット先生)話の内容の一つであった、‘日本人の英語について’が印象に残った。「日本人は文法や語彙、英語を読む・聞くことは他の非英語圏の人々と比べて大変優れているが、自分の考えを書く・話すこととなると人が変わったようにダメになる。」
耳が痛かった。英語を書く・話す機会が読む・聞くのそれより、圧倒的に少ないからだろう。

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クラスの先生
③ホームステイに関して
ホストはエリザベス・フランシスさん。とてもきれい好きな方で、使ったらその都度、きれいにすることを徹底しているというお宅は整理整頓が行き届いていた。見習いたい。仕事は朝が早く午後は短いようで、遅くとも午前6時には家を後にし、私が一番早く帰宅した日は午後4時頃だったが、その時には夕食の準備をしていた。豪州では朝食はセルフサービスであると事前に伝えられていたが、毎朝、食卓に私の分の朝食を用意してくれた。料理好きで、朝食から自家製の生地に牛肉とアボカドを包んだパイを作っていただいた時もあった。どの料理もとても美味しかった。
お宅から大学までは主にバスを利用した。家からバス停までは徒歩1分、バスに乗ると5分も経たぬうちに大学の最寄りのバス停に着くという好立地であった。時間がある朝は徒歩で大学まで行くこともあった。
エリザベスさん「また豪州に来たら、私に電話しなさい。そのころには、もっと英語が好きになっているよ。」
④今後の学生生活にどう活かしたいか
豪州の人々とのコミュニケーションで一番苦労した‘英語で自分の考えや気持ちを相手に伝える’これを今よりも満足のいくものにしたい。また、初対面の者同士の会話でよく聞く「あなたの暮らす国や町ってどんな感じ?」の質問に対して、十分に答えられるよう、日本のことや自分の暮らす地域について、もっと理解を深めたい。
 日本帰国日から日記をつけるようになった。今まで目にも止めなかった日常が後から見返したとき、大きな意味を持っているかもしれないことに気づいた。それを見逃すわけにいかない。

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