​​「自分のせいにしない」。城西大学特別講義から考える、女性が働き続けるために必要なこと。Vol.2​ 

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Kentaro Hisadomi
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Keisuke Kimura
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Hideki Shibayama

【CROSS TALK】 ​​「自分のせいにしない」。城西大学特別講義から考える、女性が働き続けるために必要なこと。Vol.2​ 

​​女性特有の生理や出産は、性差や年齢に関係なく、社会全体として捉えなければいけない課題のひとつ。そうしてテーマへの理解をより深めるべく、城西大学で特別講義「女性のゆらぎを考える」が開催されました。城西大学薬学部薬科学科、ライフスタイルコスメブランド〈THREE〉を運営する「株式会社ACRO」、女性の心と体を学ぶための教育プログラムを提案する「Woman Life+Lab」の三者により取り組みを通して、各人は何を感じたのか。後編では、「ACRO」の大髙昌さんと、この講義の発起人である薬学部薬科学科教授・鈴木龍一郎さんに話を聞きました。​

​​​​​​精油の研究から、心と体へのアプローチまで。​​ 

​​大髙昌さん​ 

​​2009年に日本で誕生したブランド〈THREE〉にて、精油の研究開発を行う「ホリスティックリサーチセンター」に所属。現在は城西大学とともに共同研究も行っている。好きな香りはベチバー。​ 

本日の講義では、セルフケアの観点から〈THREE〉が究研している香りの重要性をお話しいただきました。​

​​大高 こんなに大勢の前で、しかも大学でお話しするのは初めての経験だったので、緊張しました(笑)。​

大高さんが所属している「ACRO」の「THREE ホリスティックリサーチセンター」というのは、どのような部署なんでしょうか。​

​​大高 端的にいえば、精油の研究開発をする部署です。原料の開発や、精油を研究するチーム、精油を使って調香するチーム、精油の魅力をお客様や外部に発信するチームに分かれています。日本で植物を育てて、原料を蒸留して精油を作り、それを自分たちの言葉で発信する。そうした一貫した取り組みを行う部署として、3年前に発足しました。​

城西大学とは、共同で研究をしていると伺いました。​

​​大高 今年の4月から、自分たちで抽出した精油の研究を、城西大学の先生や学生さんたちにご協力いただきながら進めています。その香りにどのような効果があるのか、それが肌に対していかに作用するのか、ということを研究をしています。​

学生たちも、ビジネスの一端を担っているわけですね。では、本日そんな学生たちに講義をしてみて、いかがでしたか。​

​​大高 とても真剣に聞いていただいて、うれしかったですね。積極的に好きな香りを探してくれていましたし、そこで得た気づきを持ち帰ってもらえたのかなと思います。​

将来のことや人間関係などで、メンタルの不調を抱えている学生さんも少なくないと思います。香りを取り入れるとしたら、どういう選び方がいいんでしょうか?​

​​大高 まずは、好きな香りを見つけることです。例えば、よく眠れる香りとして有名なラベンダーも、その香りが苦手な人が嗅ぐと、かえって逆効果になることがあります。自分の感覚のままに、心地よいと感じる香りを選んでもらうのがいいと思います。​

どのように香りを生活に取り入れると良いですか?

​​大高 どんな形でもいいと思うのですが、例えばボディケアとして、好きな香りのハンドクリームを塗るのはおすすめですね。ほかにも、精油入りのボディソープを使ってみたり、ハンドソープから取り入れてみるのもいいですし。​

大高さんの話を聞くまで、香りがもたらす精神的な作用は、単に気分的なものだと思っていましたが、研究で効果が証明されていることに驚きました。​

大高 好きな香りを嗅ぐと、実際にセロトニンの数値が上がることがわかっています。セロトニンは睡眠ホルモンの材料のひとつでもあるので、不安に苛まれる夜も、しっかりと体をリラックスさせ、眠りに向かう準備を整えてくれるんです。

実際に、〈THREE〉の店舗にも、生理痛の痛みを和らげるためや、精神を安定させるために香りを買いに来る人がいると聞きました。​

​​大高 ありがたいことに、そうしたお客様は多いですね。今回の講義ではお話できなかったのですが、女性ホルモンの乱れに着目したローズの精油が入っているシリーズも展開しているんです。そのように肌だけでなく、心と体の両方にアプローチできるモノづくりを心がけていますし、香りを通じて、みなさんの日常の負担が少しでも軽くなればうれしいです。​

〈ACRO〉と城西大学の共同研究は、今後どういった展開を考えているんでしょうか?​

​​大高 明確なゴールを決めているわけではないのですが、私たちの取り組みを知って、城西大学、そして〈THREE〉に興味をもってくれる方が少しでも増えてくれたらいいですよね。​

​​​​​​​​学生と社会をつなぐ、新しい授業のかたち。​​​ 

​​鈴木龍一郎さん​ 
​​2011年に城西大学薬学部薬学科の助教として着任。2024年からは薬科学科の教授として教鞭を執る。「株式会社ACRO」との共同研究のメンバーの一人。​ 

まず、今回の講義をすることになったきっかけから教えてください。

​​鈴木 「株式会社ACRO」さんとは今年の4月から共同研究をスタートさせていただいたのですが、それとは別に、偶然「Woman Life+Lab」の村岡さんを紹介いただく機会がありました。「ACRO」さんも女性の不調を意識した化粧品を多く展開しているので、一緒に取り組みができたら、きっとおもしろいことができるのではないかと思いました。​

今日の講義で、鈴木先生が学生たちに一番伝えたかったのは何でしょうか?

​​鈴木 心と身体は繋がっている、ということです。それは、漢方の教科書にも書かれている基本的な考え方ですが、日々生活の中で忘れてしまいがちな部分でもあります。改めて、その認識を強く持っていただけたらいいなと思いました。​

鈴木先生ご自身は、どのように心と体を整えてるんですか?

​​鈴木 やりたいことをやる、に尽きますね(笑)。今日のような講義も、誰かに言われてやったわけでなく、自分で考えて行動したものです。新しい取り組みで、これまで経験したことのないことでしたが、チャレンジするのは楽しいですよね。それと同時に、多く人たちに支えられていることも実感できます。​

女性にフォーカスした授業は、ほかにもあるのでしょうか?​

​​鈴木 城西大学では「女性学」に関する授業が開講されていますが、薬学部学生の受講者数は多くないように見受けられます。 ただ、学生数で言うと女性が一番多い学部が薬学部なので、本来であれば、もっとしっかり取り組むべきテーマなのかもしれません。​

鈴木先生は、女性が働き続ける難しさを感じたことはありますか?

​​鈴木 村岡さんの言葉にもありましたが、男性が作った社会システムの中で、女性が男性と同じように働くのは、やはり苦労が多いだろうなとは思います。​

逆に、男子学生の中には、生理の苦しさなどの認識が乏しい人もいるのでしょうか。​

​​鈴木 いるとは思いますが、以前に比べれば減ってきていると思います。むしろ、女性に厳しいのは女性なのかもしれません。​

それは、どういう意味でしょうか。

​​鈴木 男性は社会の目もあるので、ある程度は女性対して気を遣えている人もいると思います。一方で女性は、同じ女性だからこそ、生理痛の重さも違えば、結婚する人もしない人もいて、子どもを産む人もいれば産まない人もいる。「同じ女性の私がこんなに仕事で頑張っているに、どうして彼女はそれをやらないの(できないの)?」といった感情が生まれることもあるように思います。​

​​あくまで個人的な意見ですが、男性が女性の体調の変化を気遣うと同時に、女性同士の認識の差を埋めていくことも大事なような気がしています。​

鈴木先生は、ご自身の専門分野にとらわれず、今日のような講義も積極的に行っているのでしょうか。

​​鈴木 小学校から高校までは「先生が教えて、生徒が学ぶ」という形でいいと思いますが、大学の場合は、それ以外の学びがあっていいのではないか思っていて。今日の授業も、実は村岡さんと学生が2回ほどオンラインで打ち合わせを行い、学生たちがどういう情報を求めているのかをヒアリングしてもらっていました。もちろん、こちらから与えることも大切だとは思いますが、受講者である学生自身が講義の運営に関わることで主体的な視点を持ち、意欲も高まると思います。​

こうした専門分野とは異なる授業を、過去にも実施したことはありますか?

​​鈴木 あります。数週間前には、いま「ACRO」さんとの共同研究で大変お世話になっている分析装置メーカーの方をお招きして授業していただきました。本流とは少しずれていますが、そういう企業さんがいるから「ACRO」さんとの共同研究が成り立っています。薬科学であっても、その周辺に広がる社会の繋がりを学生たちには知ってほしいと考えています。​

それによって、学生たちの将来の選択肢が増えていけばいいですよね。

​​鈴木 まさに、その通りです。​

学生たちも、「ACRO」との研究には参加していると聞きました。

​​鈴木 はい。ただ、「ACRO」さんはビジネスとしてやっているわけですから、こちらも教育という観点も大切にしながらも、しっかりビジネス上のパートナーという役割を果たさないといけない。そういう意味では、参加する学生も誰でもいいわけではなく、責任感を持って研究に取り組める学生に参加してもらっています。​

鈴木先生ご自身は、香りを生活に取り入れてますか?

​​鈴木 もちろんです。もともと香りが好きでして、いまの時期は風邪を引きやすいので柑橘系の香りをデスク周りに置いています。家でもお香を焚いたり、ディフューザーで好きな精油を拡散させたりしています。​

実体験として、効果を感じることはありますか?​

​​鈴木 健康診断に行ったとき、白衣を見ただけで血圧が上がってしまうことがあったのですが、そんなときに好きな香りを嗅ぐと、心が落ち着き血圧も下がります。​

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