​​「自分のせいにしない」。城西大学特別講義から考える、女性が働き続けるために必要なこと。Vol.1​ 

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Kentaro Hisadomi
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Keisuke Kimura
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Hideki Shibayama

【CROSS TALK】 ​​「自分のせいにしない」。城西大学特別講義から考える、女性が働き続けるために必要なこと。Vol.1​ 

​​女性特有の生理や出産は、性差や年齢に関係なく、社会全体として捉えなければいけない課題のひとつ。そうしてテーマへの理解をより深めるべく、城西大学で特別講義「女性のゆらぎを考える」が開催されました。城西大学薬学部薬科学科、コスメブランド〈THREE〉を運営する「株式会社ACRO」、女性の心と体を学ぶための教育プログラムを提案する「Woman Life+Lab」の三者により取り組みを通して、各人は何を感じたのか。今回は、講義に登壇した「Woman Life+Lab」の村岡さんと、受講した薬科学科3年の鳰原麻理奈さんに話を聞きました。​

​​村岡有紀​ 

​​1975年生まれ、東京都出身。会社員として最前線で働きつつも、妊娠・出産のタイミングで子育てを優先にしたいと思いフリーランスへ。2025年に女性の“ゆらぎ”に寄り添い、自分らしく心地よく暮らす“タネ”を育てる団体「Woman Life+ Lab」を設立。​ 

​​鳰原麻理奈​ 

​​千葉県出身。城西大学薬学部薬科学科3年。医薬品、化粧品、食品という3つの分野を広く学ぶために城西大学へ入学。現在は薬学部薬科学科天然物化学研究室に所属。​ 

​​​​​​​​悔しさを、次世代への希望に変える。​ ​ 

本日は、女性しか知り得ない生理や出産の大変さ、また学生生活や社会に出たのちに、それらの問題といかにうまく付き合うかを教えてくれる講義でした。まず、村岡さんがこのような講義を始めたきっかけから教えてください。​

​村岡 私自身、すごく悔しい思いをしてきたんです。仕事をバリバリ頑張りたい気持ちがあるのにもかかわらず、生理になって頭がうまく回らなくなってしまったり、妊娠や出産を経て、また後ろからのスタートを余儀なくされる社会構造があったり。​

昨年も、更年期がひどくなってしまったと聞きました。​

​​村岡 そうなんです。それまでプロデューサーとしてチームを引っ張っていく立場だったのですが、プロジェクトから降りなければいけなくなってしまい…。そうした経験がすごく悔しくて。これから未来を歩んでいく女の子たちの背中を押してあげながら、社会の大きな波にのみ込まれないための「身の守り方」を伝えていきたいと思うようになったんです。​

女性たちがストレスなく社会を生きるには、どのようなマインドセットが必要なのでしょう。​

​​村岡 まずは、自分のせいにしてほしくないと思っています。私はこれまで男性と同じ土俵で戦ってきたので「できない自分が悪い」と思わされる場面が多くありました。でも、決してそうじゃない。男性が作ったシステムのなかで女性が働いていくこと自体、本当に大変なことだから。​

今回の講義は、学生からの意見も反映して作られたと聞きました。

​​鳰原 はい。講義を作る段階で学生の意見も聞きたいというお話をいただき、私もミーティングに参加させていただきました。これから就職するにあたって、女性として知りたいと思うことを伝えさせていただいたんです。​

性教育自体は高校生の時にもあったかと思いますが、その頃とはまた、知りたい内容も変わってきますよね。​

​​鳰原 高校生の頃は生理痛への対処法が気になっていたんですけど、いまは女性の体の変化だったり、それに対してどう向き合えばいいかを知りたくて。体調によってそのときのベストを出せないもどかしさもあるので。​

​​村岡 高校1年ぐらいまではいわゆる「性教育」なんですけど、それ以上はライフデザインの観点になってくると思うんですね。今回は、大学を卒業して働くなかで妊娠した場合、体や生活にどんな変化が起こるかを知ってもらいたかった。そうした部分の不安を少しでも減らせたら、という思いでした。​

​​​​悔しさを、次世代への希望に変える。​ ​ 

鳰原さんは、本日の講義を体験してみていかがでしたか?

​​鳰原 妊娠後の体の変化のお話が一番印象的でした。体の中では赤ちゃんが成長していて、こういったことが起こるから、つわりが起きて、体の不調がやってくると。具体例を出してお話してくださったので、とてもイメージがつきやすかったですし、自分事として考えられました。​

今回の講義で、村岡さんが特に意識されたことは何でしょうか。

​​村岡 性の授業となると、女性の体の変化だけを話すことが多いんですね。でも、それと同時に赤ちゃんはどうなってるのかもセットで話さないと「妊娠って大変そう」とか「じゃあ産まない方がいいじゃん」っていう印象だけが残ってしまう。妊娠中の体の変化は、赤ちゃんを育て、守るために起きていることなんだと、きちんと伝えたかったんです。​

​​鳰原 コスパやタイパという言葉が蔓延している時代ですし、ネガティブな思考になる人もきっと多いですよね。​

​​村岡 「子どもを持つと大変なことばかり」って思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。私も仕事が好きな人間ですが、実際に子どもを育てて幸せなことがたくさんありましたし、妊娠中もすごく幸せを感じていたので。​

入原さんが抱いていた将来の不安は解消されましたか?​

​​鳰原 正直、村岡さんのようにバリバリ仕事したい気持ちが強いので、結婚や子どもについては「どうしようかな」と迷っていました。でも、今日の講義であったり、こうしてお話を伺って、社会に出たあとの女性特有の悩みをどう解決するべきか、理解が深まった気がします。これからは、もう少し上手く対処できそうだなと思っています。​

本日の授業では、男性が生理痛を体験するVTRも流れていましたが、いま、社会全体でみると女性を取り巻く環境は変わってきているのでしょうか?​

​​村岡 育休・産休が取れなかった時代がリアルにありました。妊娠するなら、会社を辞めなければいけなかったんです。でも、今は男性もそうした制度が使えるようになり、確実に変わってきていると思います。その認識を広げていくことが、今は大事だと思うんです。​

​​​​未来を変えるのは、これから未来を作る人たち​ ​ 

​​村岡 もう1つ思ったのが、企業の人や経営者にこの話をしても、しっかりと受け止めてもらえることはあまり多くないんです。でも、大学生は頭が柔軟です。今日もたくさんの男子学生が参加してくれました。彼らが社会に出たときに、この講義がひとつのきっかけになって、仕組みを変えていくことに向き合ってくれたら嬉しいですね。未来を変えるには、これから未来を作っていく子たちに伝えるのが1番ですから。​

鳰原さんは、女性の友達と生理のことや将来の女性の働き方のような話はされるんでしょうか?​

​​入原 大学に入ってから、そうした会話も増えてきました。価値観は本当にさまざまで、仕事をずっと続けたい子もいれば、結婚して専業主婦になりたいって子もいます。​

​​村岡 半々って言ってたよね。特にコロナ以降は出生率が低いんです。生活も厳しいし、明るい話が少ない。だからこそ、がむしゃらに働いていた私が、子どもを持って幸せを感じたという話は、今後も伝えていきたいと思ってます。​

村岡さんが今回の授業で1番伝えたかったことを教えてください。​

​​村岡 今日は男子学生も結構いたので、実際、女性がいまの社会で生活していくのはすごく大変なんだという事実を知ってもらおうとしたのが大きいです。その上で、それぞれが考え、自分なりの答えを探してもらえたら嬉しいですね。​

​​鳰原 実際に経験していないことを完全に理解することは難しいと思いますが、女性も男性も歩み寄る姿勢が大事なのかなと感じました。​

​​村岡 男子学生のアンケートに、こんな感想がありましたよ。「今日の授業を受けて、おかんと彼女を大事にしようと思いました」って。まずはそのくらいからね。​

​​鳰原 そうですね(笑)。私も、仕事中心で将来を考えていましたが、ライフプランを少し柔軟にしてもいいかなとも思いました。また、ぜひ講義をよろしくお願いします!​

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