鳥居清長

風俗東之錦 凧の糸

天明3、4年(1783、84)頃
大判錦絵
子どもの持つ凧の糸が、娘の足に絡まる。新春の風が激しく吹く往来でのひとこまである。「風俗東之錦」は、天明3、4年(1783、84)頃の清長最盛期の作品で、代表の一つ。武家や町屋のさまざまな階層の女性を、四季の風俗とともに描いた20図からなる揃物で、本図はそのうちの一枚である。 鳥居清長は、春信以後、歌麿以前の、天明期を代表する絵師。初期には春信風の美人画を描いたが、天明初めに独自の画風、八頭身の美人画を完成。大判の続絵を創始し、具体的な背景描写と、優れた群像表現で庶民の生活を描いた。本図の女性のプロポーション、衣装の繊細な模様、巧みな色の配置には、洗練された清長美人画の特徴がよく現われている。 

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