鳥居清倍

太夫と二人の禿図

正徳(1711~16)頃
堅大々判丹絵

 「浮世はなれ……」「時の花に嵐もなし」の文字がみえる反古染模様の着物を片袖ぬぎ、しごき帯を前結びにして歩む遊女と、犬を抱き上げながら付き従う禿を描く。肥痩のある衣紋線とふくよかな頬を持つ人物像、体をくねらせ向き合うように人を配す構図は、鳥居派の典型。墨摺に丹が豪華に筆彩された丹絵の優品で、当時の江戸庶民の気風に合った力強い作品である。
 鳥居清倍は、その経歴については不明な点が多いが、鳥居清信の創始した役者絵を発展させ、美人画にも雄筆をふるった、宝永後期~正徳期(1704~16)の代表的な画家である。

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