埼玉県小川町在住のシャドウボックスアート作家 笠間眞佐子の細川紙作品をご紹介します。
シャドウボックスアートとは、写真や絵をいくつものパーツに切り抜いてパーツごとに重ねていくことで、平面を立体世界へと変化させ、光の加減によって不思議な奥行きを持たせるクラフトアートのことをいい、17世紀頃フランスのサロンで誕生しました。 海を超えた日本、江戸中期の上方では、浮世絵のジャンルに立版古(または組上絵)が登場します。浮世絵版画を切り抜き、組み立てて遊ぶ子供のためのおもちゃ絵の一種で、現代のペーパークラフトにも通じています。
細川紙(小川町、東秩父村)は、島根県浜田市の石州半紙、岐阜県美濃市の本美濃紙とともに、手漉き和紙技術が2014年11月ユネスコ無形文化遺産に登録され、その伝統技術の保存・継承が求められる埼玉の代表的な和紙です。笠間は、江戸・明治時代、商家の帳簿(大福帳等々)に使われるなど「生活のための紙」であった細川紙を、17世紀のフランス文化であったシャドウボックス作品の素材として用い、日本文化を代表する浮世絵版画を立体的に表現する試みに取り組んでいます。その根底には、細川紙が実用品の「生活紙」からアートの「美術紙」になって欲しいという作家の願いが込められています。
この度の展覧会では、そうした笠間の細川紙への想いが詰まった葛飾北斎の風景画、花鳥画を中心に、平面絵画であった浮世絵が3Dとなってシャドウボックスアートへと生まれ変わった様子をご覧頂きます。平面とは違った浮世絵の世界をお楽しみ頂き、作品を通して、細川紙の新たな可能性も同時に感じて頂けましたら幸いです。
シャドウボックスアート作家プロフィール
笠間眞佐子 (かさま まさこ)
埼玉県小川町在住。1997年シャドウボックスに出会い、2004年まで独学で制作。その後、洋紙での制作を続けていたが、2008年からは和紙を用いて制作を開始、2009年和紙による《洛中洛外図》を東秩父村「和紙の里文化フェスティバル」創作美術展に初出品する。その後、ギャラリーや、小川町立図書館、小川町和紙体験学習センターでの展示会に出品するなど制作活動を続けていく中で、郷土の和紙細川紙でのシャドウボックス制作をしようと決意。2014年11月細川紙がユネスコ無形文化遺産に登録されると、登録記念の第一回として埼玉伝統工芸会館にて個展が開催される。 以降、東京都美術館での公募展に出品し入選、国立新美術館でのシャドウボックスアート展に細川紙による作品を出品するなど、制作活動を通して細川紙の新たな可能性の提言を行っている。
作家在室日
(緊急事態宣言延長のため、当初の予定より在室日を減らしております。)
2月24日(水)、3月1日(月)、5日(金)、9日(火)、12日(金)午後12時30分~午後4時30分
*都合により不在になる場合もございます。予めご了承ください。
展覧会紹介動画