高円宮妃久子殿下は、バードウォッチングをご趣味とされ、国内外を旅行される折には、ご愛用のカメラで多種多様な野鳥の一瞬の姿を捉えてきました。鳥類は自然生態系の変化や環境汚染の影響を受けやすく、生態系の健全度を示す重要な指標となります。鳥類環境保護活動に尽力されてきた妃殿下は、2004年に国際環境NGOバードライフ・インターナショナルの名誉総裁に就任されました。鳥の美しさやたくましさが写し出された写真からは、妃殿下の鳥や自然への深い思いが感じられます。
また、妃殿下は根付のコレクター、研究者としても功績を上げられてきました。根付とは印籠や煙草入れなどを着物の帯から下げるための留め具で、木彫りや牙彫、蒔絵、彫金などの技巧が凝らされた小さな伝統工芸品です。妃殿下は根付を宮邸の庭や国内外の色々な場所に連れ出し、自然の中に置いて撮影した写真を「旅する根付」シリーズとして発表されています。根付の魅力を引き出し、新たな物語をつぐむ写真の数々は、新しい発見に満ち、見る者の心を和ませることでしょう。
本展覧会では、妃殿下がこれまで撮影されてきた野鳥の写真と根付の写真をご覧いただきます。あわせて、妃殿下の根付コレクションの中から現代根付を展示します。野鳥や自然、根付の小さな技巧の世界を愛しむ、妃殿下のまなざしにふれていただく機会となりましたら幸いです。