トランプ関税とは?開始時期と日本への影響をわかりやすく解説

経済・ビジネス

「トランプ関税」という言葉をニュースで見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際にどのようなものなのか、日本にどのような影響があるのか、詳しく知らないという方も少なくありません。

トランプ関税は、アメリカの貿易政策の大きな転換点となった政策です。

この記事では、トランプ関税とは何か、いつから始まったのか、そして日本への影響について、わかりやすく解説していきます。

トランプ関税とは

トランプ関税 いつから

トランプ関税とは、アメリカのドナルド・トランプ大統領が第1次政権時に進めた「保護主義的な貿易政策」の一つで、大幅な関税引き上げを行う政策を指します。

本来、国同士の貿易では関税を低くして取引を活発にすることが多くあります。しかし、トランプ政権は、「国内産業を守る」「海外からの不公正な貿易を是正する」という目的を理由に、多くの国や品目で関税率を大きく引き上げました。

特に中国との対立を強めたことで、鉄鋼・アルミをはじめ幅広い製品に高い関税が課された点が特徴です。

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日本へのトランプ関税はいつから開始された?

トランプ関税 いつから

日本に関係するトランプ関税は、2018年3月に鉄鋼・アルミ製品を対象に関税引き上げが発表されたことが始まりです。

その後、日本は一定の交渉の結果、一部品目で除外措置を受けた時期もありますが、基本的にはこのタイミングからアメリカの関税引き上げが日本の輸出企業にも影響を及ぼし始めました。

一連の「トランプ関税」と呼ばれる政策群は段階的に拡大し、2020年頃まで継続しています。

2025年現在も、見直しや再設定が行われながら運用されています。

トランプ関税の日本への影響|メリットとデメリットを解説

トランプ関税 デメリット

トランプ関税は、日本企業にとって良い面と悪い面が混在しています。

主なポイントは次のとおりです。

良い影響・メリット

  • アメリカが中国などから輸入品に高い関税をかけると、代替先として日本製品が注目され、輸出のチャンスが広がる可能性がある
  • 日本政府がアメリカとの交渉の中で、貿易方針を活用し、自国産業の保護や優遇措置を引き出すケースもある

悪い影響・デメリット

  • 日本製品にアメリカ側の関税がかかると、輸出価格が上がり、アメリカ向けの販売が減る恐れがある
  • 米中間の貿易摩擦が世界的な貿易量を縮小させ、日本の輸出全体の伸びが鈍くなる可能性がある
  • 関税や報復措置の影響で、原材料・部品・食料などの輸入価格が上昇すると、企業コストや家計の負担が増えることがある
  • 物価だけが上がって賃金が追いつかない場合は、生活費の増加によって実質的な家計の負担が重くなる
  • 貿易環境が不安定になると、企業が投資や雇用を控える動きが出やすくなり、国内の経済活動にもマイナス影響がある

トランプ関税がかかっている主な国の一覧

トランプ関税 国 一覧

以下は、トランプ関税が適用されてたときの主な国と関税率の一覧です。

(2025年8月7日時点の関税率です)

【トランプ関税の国名と関税率の一覧表】

国名関税率国名関税率
アフガニスタン15%リビア30%
アルジェリア30%リヒテンシュタイン15%
アンゴラ15%マダガスカル15%
バングラデシュ20%マラウイ15%
ボリビア15%マレーシア19%
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%モーリシャス15%
ボツワナ15%メキシコ25%
ブラジル50%モルドバ25%
ブルネイ25%モザンビーク15%
カナダ50%ミャンマー40%
カンボジア19%ナミビア15%
カメルーン15%ナウル15%
チャド15%ニュージーランド15%
中国47%ニカラグア18%
コスタリカ15%ナイジェリア15%
コートジボワール15%北マケドニア15%
コンゴ民主共和国15%ノルウェー15%
エクアドル15%パキスタン19%
赤道ギニア15%パプアニューギニア15%
EU15%(一部除く)フィリピン19%
フォークランド諸島10%セルビア35%
フィジー15%南アフリカ30%
ガーナ15%韓国15%
ガイアナ15%スリランカ20%
アイスランド15%スイス39%
インド25%シリア41%
インドネシア19%台湾20%
イラク35%タイ19%
イスラエル15%トリニダード・トバゴ15%
日本15%チュニジア25%
ヨルダン15%トルコ15%
カザフスタン25%ウガンダ15%
ラオス40%イギリス10%
バヌアツ15%ベネズエラ15%
ベトナム20%ザンビア15%
ジンバブエ15%レソト15%

まとめ

トランプ関税は、アメリカが自国産業を守るために多くの国や品目に高い関税をかけた政策であり、世界の貿易の流れを大きく変えました。

日本にとってはメリットもある一方で、輸出の不利や物価上昇などの影響が生じる可能性があります。

貿易政策は国際情勢によって変わるため、最新の動向を知っておくことが、家計や企業活動の変化を理解するうえでも役立ちます。

記事作成に協力した人

堀江 明子

城西大学 広報課 職員

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