市販薬と処方薬は何が違う?効き目・副作用・成分の違いを解説

健康・医療
この記事を監修した人

堀井 徳光

  • 所属:薬学部 薬学科
  • 職名:助教
  • 研究分野:
    医療系薬学

学位

  • 修士(医療薬学専攻) ( 2006年03月   城西大学 )

  

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体調を崩したとき、市販薬で済ませるか病院へ行くか迷った経験はないでしょうか。同じ薬に見えても、市販薬と処方薬にはいくつもの違いがあります。

この記事では、効き目や副作用、成分といった観点から両者の違いをわかりやすく整理し、正しい使い分けの考え方までご紹介します。

市販薬と処方薬の基本的な違い

比較項目市販薬処方薬
正式名称一般用医薬品・要指導医薬品医療用医薬品
入手方法薬局・ドラッグストアなどで購入できる※基本的には、医師の処方箋に基づいて、薬局で調剤され、薬剤師から交付される 
使用開始までの流れ購入後に使用する診察・処方・調剤を経て使用する
対象セルフメディケーションに用いられる医師の診断に基づく治療に用いられる
保険適用原則として対象外保険診療の範囲内であれば公的医療保険が適用される(保険適用外の治療の場合は自費となる) 

※要指導医薬品などは薬剤師の情報提供等が必要なため、併用薬や症状によっては購入できない場合があります。

市販薬と処方薬は、入手方法も使われ方も異なります。まずはそれぞれがどのような薬なのかを整理します。

市販薬とは何か

市販薬とは、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる薬のことです。正式には「一般用医薬品」や「要指導医薬品」と呼ばれます。なお、要指導医薬品は薬剤師からの情報提供が必要であり、持病や併用薬、症状によっては購入できない場合もあります。

市販薬は、軽い症状を自分で手当てするセルフメディケーションに用いられます。自分の症状に合わせて選ぶことができますが、薬の種類や体質、年齢、持病、併用している薬などによっては使用できない場合があります。選び方や使い方に迷ったときは、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。 

一般用医薬品は、副作用などのリスクの程度に応じて第1類から第3類に分けられ、それぞれ販売方法に決まりがあります。とくに第1類医薬品や要指導医薬品は、購入時に薬剤師による情報提供が必要なため、薬剤師が不在の場合は購入できません。 

処方薬とは何か

処方薬とは、医師の診察を受けたうえで発行される処方箋にもとづいて、薬剤師が調剤する薬のことです。「医療用医薬品」とも呼ばれます。

患者一人ひとりの症状や体質、ほかに飲んでいる薬との飲み合わせまで考慮して、医師が選びます。

市販薬との最大の違いは、専門家の管理のもとで使うかどうかという点にあります。市販薬は自分の判断で選んで使えますが、処方薬は医師の診断と薬剤師の管理を前提として使う薬だといえます。

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効き目と副作用の違い

市販薬と処方薬では、使用目的や成分、含有量、効能・効果などが異なります。効き目や副作用のリスクは薬ごとに異なるため、「処方薬は強く、市販薬は弱い」と一律に分けることはできません。この違いを理解しておくと、薬を安全に使うことにつながります。

効き目に違いが生じる理由

市販薬と処方薬では、使用目的や承認されている効能・効果、有効成分の種類や含有量などが異なる場合があります。そのため、同じ症状に使う薬でも、効き方が同じとは限りません。

一方、スイッチOTCのように、医療用医薬品と同じ有効成分を同じ量含む市販薬もあります。市販薬だから効き目が弱い、処方薬だから強いと一律には判断できません。市販薬で症状が改善しない場合は、自己判断で量を増やさず、添付文書を確認したうえで医師や薬剤師に相談しましょう。

副作用のリスクの違い

副作用の種類や起こりやすさは、薬の成分や使用量、使用する人の体質・年齢・持病、ほかの薬との飲み合わせなどによって異なります。処方薬と市販薬のどちらにも副作用の可能性があるため、それぞれの指示や添付文書に従って使用することが大切です。 

だからこそ医師や薬剤師による管理が欠かせません。

注意したいのは、市販薬なら安全だという思い込みです。市販薬も用法や用量を守らずに使うと、効果が強く出すぎたり副作用が現れたりする危険があります。

なかには依存性のある成分を含むものもあり、長期間にわたって使い続けると健康被害につながるおそれがあります。市販薬であっても、説明書をよく読み、決められた量と回数を守ることが大切です。

含まれる成分の違い

市販薬と処方薬は、含まれている成分の設計にも違いがあります。同じ薬に見えても中身が異なることを知っておくと、薬選びの理解が深まります。

処方薬は症状や状態に応じて選ばれる

処方薬は、医師が患者の症状や体質、年齢、持病、ほかに使用している薬などを確認したうえで選びます。

単一の有効成分を含む薬だけでなく、複数の有効成分を組み合わせた配合剤もあります。必要に応じて薬を組み合わせ、患者一人ひとりに合った治療を行う点が特徴です。 

市販薬は複数成分が多い

市販薬には、複数の症状に対応するため、複数の有効成分を配合した製品があります。

たとえば総合感冒薬には、発熱や喉の痛み、鼻水、咳などに対応する成分が組み合わされていることがあります。

一方で、ひとつの有効成分だけを含む市販薬もあります。

同じ成分でも効能が異なる例

市販薬と処方薬には、同じ成分が同じ量だけ入っているものもあります。もともと処方薬だった成分が市販薬として購入できるようになったものは「スイッチOTC」と呼ばれます。

ただし、成分が同じでも効能効果が違う場合があります。たとえば解熱鎮痛薬のロキソニンは、市販薬では頭痛や生理痛などに使えますが、処方薬では腰痛症や手術後・外傷後の痛みなど、より幅広い場面で使われます。

なお、ロキソニンはあくまで痛みや炎症を和らげる対症療法薬であり、病気そのものを治療する薬とは異なりますので注意が必要です。

この違いは、薬ごとに使ってよい症状が国の承認で別々に定められているためです。処方薬は医師の管理を前提とするぶん、使える範囲が広く認められています。

そのため、以前処方された薬と同じ成分の市販薬でも、同じ症状に自己判断で使うのは避け、気になる症状は医師や薬剤師に相談しましょう。

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市販薬と処方薬の使い分け

市販薬で対応できる場合と、医療機関を受診したほうがよい場合があります。判断の目安を知っておくと、いざというときに迷わず行動できます。

市販薬で対応してよいケース

市販薬が向いているのは、軽い症状の初期対応です。軽い風邪や一時的な頭痛、筋肉痛、軽度の胃の不調などであれば、市販薬で様子を見るという選択が適しています。

このように、軽い不調を自分で手当てすることをセルフメディケーションといいます。医療機関へ行く時間がないときや、夜間や休日でもすぐに対応できる点はメリットです。

ただし、あくまで軽い症状への初期対応であることを理解しておくことが大切です。

医療機関を受診すべきケース

市販薬を使っても症状が改善しないときは、医療機関の受診を検討しましょう。改善の目安となる期間は薬の種類や症状によって異なりますので、パッケージや添付文書に記載された使用上の注意を確認してください。また、症状によっては市販薬を使わずすぐに受診が必要な場合もあります。判断に迷うときは、自己判断を続けず医師や薬剤師に相談することが大切です。

また、症状が重い場合や長引く場合、高熱や強い痛みがある場合も受診が必要です。持病がある方や、妊娠中・授乳中の方は、市販薬の使用前に医師や薬剤師へ相談すると安心です。

判断に迷ったときは、まずは身近な薬局の薬剤師に相談したり、お住まいの地域の医療機関の情報を確認したりするとよいでしょう。

薬を安全に使うための注意点

市販薬も処方薬も、正しく使ってこそ効果を発揮します。安全に使うために知っておきたい基本を整理します。

用法用量を守る大切さ

薬は、決められた用法と用量を守ることが基本です。早く治したいからと量を増やしても、効果が高まるどころか副作用のリスクが上がるだけです。

市販薬であっても油断はできません。用量を超えて使うと、効果が強く出すぎたり副作用が現れたりすることがあります。

とくに咳止めなどの一部の市販薬には、依存性のある成分が含まれているものもあります。長期間にわたって使い続けたり、一度に多く使ったりすることは避け、説明書をよく読んで正しく使うことが大切です。

飲み合わせと相談先

薬は、ほかの薬や飲食物との組み合わせによって、効果が変わったり副作用が出やすくなったりすることがあります。市販薬と処方薬を一緒に使う場合は、同じ成分が重なってしまわないか注意が必要です。

こうした飲み合わせを確認するうえで役立つのがお薬手帳です。自分が使っている薬を記録しておけば、医師や薬剤師が安全性をチェックしやすくなります。

飲み合わせに不安があるときや、どの薬を選べばよいか迷うときは、自己判断せず薬剤師に相談しましょう。妊娠中や授乳中、持病がある場合はとくに、専門家に確認してから使うと安心です。

関連記事:薬の副作用への理解を深める|対処法を知って安全な服薬を

【FAQ】市販薬と処方薬に関するよくある質問

市販薬と処方薬について、とくに多い疑問をまとめました。

市販薬と処方薬は一緒に飲んでもよいか

同じ成分が重なってしまったり、飲み合わせがよくなかったりする場合があります。

自己判断で併用せず、必ず薬剤師に相談してください。お薬手帳を持参すると、より安全に確認できます。

市販薬で様子を見てよい期間はどのくらいか

使用できる期間は、薬の種類や症状によって異なります。

パッケージや添付文書に記載された期間使用しても改善しない場合は、使用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。症状が重い場合や急に悪化した場合は、記載された期間を待たずに医療機関を受診しましょう。 

処方薬と同じ成分の市販薬は同じ効果か

成分が同じでも、効能効果や使える症状の範囲が異なる場合があります。

以前処方された薬と同じ成分の市販薬でも、同じ症状に自己判断で使うのは避け、気になる症状は医師や薬剤師に相談してください。

まとめ

市販薬と処方薬は、入手方法だけでなく、効き目の強さや副作用のリスク、含まれる成分の設計にも違いがあります。市販薬は軽い症状の初期対応に向いており、症状が重いときや長引くときは医療機関の受診が必要です。

どちらの薬も、用法用量を守り、飲み合わせに注意して正しく使うことが大切です。市販薬だから安全と思い込まず、迷ったときは薬剤師に相談する習慣を持つと、薬とより安全に付き合えます。

薬の違いを正しく理解することは、自分や家族の健康を守る第一歩です。薬の働きや成分にもっと関心を持った方は、薬学という学問の世界に触れてみると、新たな発見があるかもしれません。城西大学の薬学に関する学びや研究の情報も、ぜひのぞいてみてください。

この記事を監修した人

堀井 徳光

  • 所属:薬学部 薬学科
  • 職名:助教
  • 研究分野:
    医療系薬学

学位

  • 修士(医療薬学専攻) ( 2006年03月   城西大学 )

  

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