大人も楽しめる児童文学の名作たち|時を超える魅力とは
もくじ
大人も楽しめる児童文学の名作たち
学校の教科書には、さまざまな児童文学作品が採用されており、誰もが一度は聞いたことのある懐かしい作品も少なくありません。
近年、子どもだけでなく大人のなかにも児童文学を楽しむ人が増えているのですが、それはなぜなのでしょうか。
児童文学の魅力や名作をいくつかご紹介します。
児童文学の魅力とは
児童文学とは子どものために書かれた本のことを指します。
乳幼児を対象とした絵本などの幼年文学から、10代に向けたシリアスな題材を扱ったYA(ヤング・アダルト)文学まで、幅広い年齢層に向けた児童文学が存在します。
児童文学というと「子どもが読むもの」というイメージがあるかもしれませんが、大人になって読みなおして、新たな文学的価値や魅力を再発見する方も少なくありません。
児童文学は子どもでも理解できるよう、シンプルな言葉やメッセージで文章が作られています。
これを大人が読むことによって、そこに書かれたメッセージをさまざまな角度から読み解き、子どもの頃とは違った印象を抱いたり、内容やストーリーの奥深さを発見したりすることもあるのです。
なかには、シンプルな言葉だからこそ哲学的な意味として捉えられるものもあり、子どもはもちろんのこと、大人にとっても心に刺さる作品が数多く存在します。
英語圏児童文学が持つユニークな魅力
日本では、イギリスやアメリカなど英語圏で生まれた児童文学が翻訳されてきた歴史があります。
『赤毛のアン』や『くまのプーさん』、『ナルニア国物語』などは特に有名で、読んだことがある方も少なくないのではないでしょうか。
長年日本の読者は、日本にはない食べ物やドレス、風景などに想像力を膨らませてきたことでしょう。
特にイギリスはファンタジー文学の聖地であり、魔法、不思議な生き物、タイムスリップなどが登場する物語を数多く生み出してきました。
また、英語圏の児童文学作品は多様なテーマにチャレンジしており、社会問題を扱うことも厭いません。
人種や多文化共生、家庭環境などをテーマにする小説のほかに、LGBTQ+の子どもたちが登場する作品も珍しくありません。
常に、多様な子どもの姿に向き合う姿勢があるように思われます。
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大人にもおすすめの児童文学作品
これから児童文学作品を楽しみたいと考えている方のために、大人でも楽しめる作品や本選びのポイントなどもご紹介します。
おすすめの英語圏児童文学作品5選
大人にもおすすめしたい英語圏児童文学作品を5つご紹介します。
1.『若草物語』(ルイザ・メイ・オルコット作)
メグ、ジョー、ベス、エイミーの四姉妹の成長を描く不朽の名作です。
父母が不在の家を守るために奮闘する四姉妹それぞれが個性豊かに描かれており、飽きることなく読むことができます。
特に次女ジョーの力強さは読者を惹きつけてやみません。家族や友人たちとの絆を生き生きと感じることができます。
2.『秘密の花園』(フランシス・ホジソン・バーネット作)
両親を亡くして伯父に引き取られた少女メアリーは、生きる気力も体力も失っていました。
しかし、イギリス・ヨークシャーの美しい自然とお気に入りの庭に出会って楽しみを見出し、どんどん快活になっていきます。
登場する動物や植物が美しく、読むとイギリスに行ってみたくなる一冊です。
3.『グリーン・ノウの子どもたち』(ルーシー・M・ボストン作)
少年トーリーは、曾祖母を訪ねて、グリーン・ノウというイギリスで一番古いお屋敷にやって来ます。
トーリーは300年前にこの屋敷で暮らしていたという子どもたちと出会い、仲良くなっていきます。
不思議な時間が流れる屋敷で紡がれる癒しの物語です。このお屋敷は実在しており、今も行くことができます。
4.『泥』(ルイス・サッカー作)
主人公のタマヤはいじめっ子チャドから逃れるために禁断の森に入り込みます。
追いかけてきたチャドに泥を投げつけて逃げますが、次の日チャドは学校を休み、タマヤの手も腫れあがっていきます。
実はその泥は森にある発明所で開発されているという「クリーンなエネルギー」と関係があるようで・・・。
児童文学きっての名作SFパニック小説です。環境問題、エネルギー問題について考えさせられます。
5.『おれの墓で踊れ』(エイダン・チェインバーズ作)
16歳の少年ハルは、18歳の少年バリーに助けられ、恋に落ちます。
しかし幸せな時間は長くは続かず、バリーは事故で亡くなります。その後ハルはバリーの墓を損壊したという罪で逮捕されます。
そこには彼ら二人にしかわからない約束がありました。10代の少年が経験する大きな感情の渦に心揺さぶられる作品です。
児童文学作品はどう選ぶ?
児童文学作品はあまりにも数が多すぎて、どれから読み始めれば良いのか迷ってしまう方も多いでしょう。
一方で、教科書にも採用されている作品も多いため、あらすじは思い出せないもののタイトルだけは知っているという本もあるはずです。
まずはそのような作品から読み始めることで、子どもの頃に感じていたことと、大人になった今だからこそ感じることの違いが見えてくるかもしれません。
また、英語圏児童文学の多くが映画やアニメになっています。
それらの原作を手に取ってみるのも良いと思いますし、自分の境遇や心境と重ね合わせて本を選んでみるのもおすすめです。
まとめ|児童文学を読むことの意義
児童文学は子ども向けの本というイメージがあります。
しかし、大人になってから再度読んでみることで違った見方を発見したり、子どもの頃には感じられなかった奥深さに触れたりすることもできます。
文量がそれほど多くなく、短くまとめられた作品も多いため、読書の習慣がないという方にとっても親しみやすいはずです。
牟田 有紀子
- 所属:語学教育センター
- 職名:助教
- 研究分野:人文・社会 / 英文学、英語圏文学
学位
- 修士(ヴィクトリア朝研究) ( 2015年10月 レスター大学(英国) )
- 修士(文学) ( 2013年03月 早稲田大学 )
- 学士(文学) ( 2011年03月 早稲田大学 )