SNSだけじゃない!Z世代が頼りにする情報源とは

地域・社会

生まれた時からスマートフォンが身近にあり、SNSが生活の中心にあるZ世代。

彼らはSNSをきっかけに多くの情報を得ていますが、実際にはそれだけで行動を決めているわけではありません。

AI対話検索や動画、オウンドメディアなど、複数の情報源を行き来しながら「自分で確かめる」行動が定着しています。

 

この記事では、Z世代の情報収集スタイルの変化と、SNS以外の「信頼のよりどころ」を読み解きます。

Z世代の情報収集スタイルは多様化している

Z世代は目的に応じてSNS・動画・AI対話検索・検索エンジン・Web記事などを柔軟に使い分けています。

感覚的な情報から理性的な情報まで、複数のメディアを横断的に活用する姿勢が特徴です。

SNSで得る「リアルタイムな流行情報」

SNSはZ世代にとって“今”を知るための最も身近なツール。

トレンドや人気スポット、話題の人物などがリアルタイムで流れ、共感を通じて広がります。

 

一方で、情報の真偽や偏りを意識し、「鵜呑みにしない」態度を持つ若者も増えています。

YouTubeで学ぶ「ハウツーや自己投資」

興味を持ったテーマを深めるために、Z世代はYouTubeを使って視覚的に学びます。

レビューや比較、体験談を通して、実際に自分の行動を決める手がかりにしています。

AI対話検索や検索エンジンで調べる「比較・検証」

「本当かな?」と思った時、Google検索やAI対話検索(ChatGPTなど)を使って裏付けを取ります。

AIを“理解を助ける友人”のように使う人も増えており、情報整理の手段として定着しつつあります。

 

たとえば「美容室 似合う髪型」や「大学 単位 取りやすい科目」など、検索ではなくChatGPTに直接質問する人も増えています。

単なる情報の取得ではなく、「自分のための答え」をAIと一緒に見つける姿勢が特徴といえます。

オウンドメディアや専門的なWeb記事で得る「信頼性の高い情報」

発信元が明確で背景が見える情報を求める傾向も強まっています。

大学や企業の公式サイト、専門家による記事など、信頼の担保がある媒体を「最終的な確認先」とする行動が広がっています。

関連記事:情報リテラシーとは?身につけ方やメディアリテラシーとの違いを解説

なぜSNSだけでは足りないのか?

SNSはスピード感や共感を生む一方で、判断の根拠としては不十分な面があります。

Z世代は感覚だけでなく、「確かめる力」=情報リテラシーを持ち始めています。

情報の正確性・信頼性に課題

SNSでは出所が曖昧な情報も多く、誤解や偏りが生まれやすい点に注意が必要です。

「誰が」「なぜ」発信しているかを確認する習慣が広がっています。

情報が流れやすくストックされない

タイムライン中心の構造では、有用な情報もすぐ流れてしまいます。

Z世代は「後で探すなら検索・AI」「保存するならWeb記事」という使い分けをしています。

深掘りや体系的な理解には向かない

SNSはテンポよく情報を届けるため、背景理解や因果の把握は難しいといった特徴があります。

そのため、別メディアで“確認・補完”する動きが当たり前になっています。

興味を持ったテーマについて調べたいときは、Web記事や動画など他の媒体を活用して深掘りするのが効果的です。

SNSとオウンドメディアの使い分け

関心を引き、共感を広げるSNSに対して、理解を深め、根拠を示すのがオウンドメディアです。

役割を分けて設計することで、情報はより届き、より伝わります。

SNSは“きっかけ”や“共感”をつくる場

Z世代はSNSで他者と感情を共有し、興味の種を見つけます。

感覚的な「面白そう」「気になる」が行動の第一歩です。

オウンドメディアは“深さ”と“裏付け”を提供する場

興味を持った内容を理解・検証する際に、一次情報を求める動きが生まれます。

オウンドメディアは、背景・根拠・人の声を整理して伝える「信頼の器」として機能しています。

両者を連携させることで相乗効果が生まれる

SNSで生まれた関心がオウンドメディアに流れ、理解や共感が深まる。

この循環が、Z世代の信頼形成の新しいプロセスとなっています。

関連記事:マーケティングコミュニケーションとは?種類や目的、身近な例を紹介

実際の取り組み事例

オウンドメディアは、ブランドの世界観づくりから信頼性の担保まで、目的に応じて設計されています。

ここでは、Z世代に支持される発信スタイルの実例を見てみましょう。

事例1:ネクストストーリーズ|明治ホールディングス株式会社

画像引用元:ネクストストーリーズ

「健康×社会課題」をテーマにしたブランドストーリーメディア。

明治グループの研究や社会貢献を温かみのある写真と平易な語りで伝え、専門性と親しみやすさを両立しています。

【ネクストストーリーズの特徴】

  1. 多様なカテゴリ展開
    「健康」「イノベーション」「育児」など、幅広いテーマを横断的に取り上げている。
  2. デザイン面
    柔らかい色使いと写真で親しみやすく信頼感を演出している。
  3. 社会との共創
    消費者や研究者など多様な立場の人の声を取り入れている。

 企業の理念を「物語」として伝え、信頼と共感を両立させた好例です。

事例2:LifeWear magazine|株式会社ユニクロ

画像引用元:LifeWear magazine

製品情報にとどまらず、ライフスタイルそのものを発信。

写真と文章の統一感が「共感できる世界観」をつくり、Z世代がブランドを“自分ごと化”しやすい構成になっています。

【LifeWear magazineの特徴】

  1. 理念の発信
    製品背景やサステナビリティへの姿勢を物語化している。
  2. 動画とテキストの融合
    映像で素材感・着心地を直感的に伝えている。
  3. 共感を生む関係づくり
    読者との信頼と愛着の強化を目指している。

 単なる商品紹介にとどまらず、ライフスタイル全体をデザインするブランド発信が特徴です。

事例3:SHISEIDO ONLINE STORE(旧watashi+)|資生堂

画像引用元:SHISEIDO ONLINE STORE(旧watashi+)

オンラインショップと情報発信を融合し、購買体験を“学び”へ変換。

人の語りを中心に信頼を築く構成で、AI時代にも“温度感のある情報”を残しています。

【SHISEIDO ONLINE STOREの特徴】

  1. EC機能とメディアが一体化したサイト設計
    記事で紹介した商品をそのまま購入できる仕組みで、
    読みながら“試してみたい”気持ちを自然に喚起する構成になっている。
  2. 顧客の体験を重視したデザイン
    シンプルで見やすいレイアウトと、商品理解を助ける写真・動画の使い方が工夫されている。
  3. オンラインとリアルをつなぐ仕掛け
    オンラインセミナーや体験コンテンツを通じて、店舗に行かなくてもブランド体験を得られる。
  4. AIと検索連携によるパーソナライズ
    AIレコメンド機能や検索連携を活用し、ユーザー一人ひとりの興味に合わせた記事や商品を提示。Z世代の「自分で探すより提案されたい」というニーズにも応えている。

上品さと利便性を両立した、ユーザー中心のサイト設計が特徴です。

事例4:TEAM JOSAI PROJECT|城西大学

画像引用元:TEAM JOSAI!

学生アスリートの挑戦を通じて、努力や学びのストーリーを発信。

リアルな体験をベースに、共感と応援の循環を生み出しています。

【TEAM JOSAI! の特徴】

  1. 学生中心の発信
    アスリートの活躍や大会情報をリアルに紹介している。
  2. 多彩なカテゴリ展開
    「PEOPLE」「CLUB」「EVENT」など複数の切り口で構成されている。
  3. 共感を生む語り口
    スローガン「WE ARE TEAM JOSAI!」で一体感を演出している。

まとめ

Z世代は、SNSで共感し、AIや検索で確かめ、オウンドメディアで納得する。

この多層的な行動は、「信頼を自分で選び取る時代」を象徴しています。

AIが情報を整理し、人が感情で確かめる——そんな新しい情報行動の中で、Z世代は“知る力”を進化させています。

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