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教員の独り言


現代政策学部の教員が、研究・教育の合間に日々考えていることをご紹介する教員コラムです。

2022年5月

城西大学のZane先生with学生さんと川越観光を英語で語ろう!/リッチー ザイン

現代政策学部は、政策学、法学、経済学、IT、福祉、文化など幅広い専門分野の教員から構成されています。研究論文や教科書だけでなく、教員の日々の活動などもご紹介していきます。第5回はリッチー先生です。

4月23日
リッチー先生とゼミ3年生は、NPO法人英語の通じる街実行委員会English Friendly Town(EFT)が主催した第20回ワークショップ「城西大学のZane先生with学生さんと川越観光を英語で語ろう!」に参加しました。ETFとは、川越市を中心に、国際都市川越市を目指し、英語ボランティア育成、英語によるイベントなどによって地域の豊かな歴史と文化を外国人への宣伝を推進している団体です。

今回のワークショップの目的は、地域社会と学生間のコミュニケーションや交流を通して観光の現状と外国人観光客に街の魅力をよりよく宣伝する方法について英語による議論を奨励したイベントでした。学生は2つのプレゼンテーションを行い、一つ目は川越の良さと街の魅力を紹介した後、特にコロナ後外国人観光客を歓迎しようとしている街として「小江戸」の交通の混雑状況やゴミ問題などについて解決すべきだと主張しました。二つ目は、歴史のある醸造蔵や日本酒で有名な川越という観点から考え、それらに焦点をあて紹介しました。特に若者世代がこの伝統的な日本酒産業から離れている現状を強調し、政策やマーケティングのアイデアを模索するべきだと述べられました。

各プレゼンの直後、市民と学生の間でディスカッションや意見交換セッションが行われました。今回のワークショップの参加によって学生が地域のコミュニティと交流し、観光視点から川越の魅力や問題点をより深く考えることができました。

(参考:https://eigonomachi.jp/2022/05/08/workshop20th/)

2020年2月

実際の現場から学ぶこと/柳澤 智美

現代政策学部は、政策学、法学、経済学、IT、福祉、文化など幅広い専門分野の教員から構成されています。研究論文や教科書ではない読みやすい形で、研究・教育の一端を毎月ご紹介させていただきます。
第4回は政策学が専門の柳澤智美先生です。
川越に河越抹茶の会というNPOが存在しています。この河越抹茶の会の存在を10年くらい前に知りました。なかなか連絡がとれないことが続きましたが諦められず、「お話がしたい」と突然電話したのがきっかけとなり、連絡を取ることができたのが2017年10月です。その後、2019年6月に、高崎経済大学で日本地域政策学会が開催されました。発表したテーマが、「古くて新しい河越茶」です。特産品で地方創生ができるという「幻想」という記事が2015年2月東洋経済オンライン(2020年1月26日現在)に掲載されています。この記事にあるように特産品が必ずしも地域の活性化や創生に貢献できるとは限りません。特産品になるためにはいくつかのハードルがあります。それらを政策学的に考えれば、総合的に地域の特産品になるためにいくつかある問題を解決しなくてはなりません。具体的に地域の問題や、問題とされている構造を把握することで地域活性化へ向けた解決のためのビジョンとミッションが達成されなければなりません。面白いから等の消費者を意識しない特産品作りは活性化につながりません。
この河越茶は特産品になれる要素を多くもっています。まず消費者側に立ち面白いから作るのではなく、茶農家さんの需要を捉えていることや、川越の歴史を学びその歴史に沿って河越茶と名付けたところ。NPOと株式会社に別々の機能を持たせたことで行政からの「補助金頼み」でもない「内輪受けの商品開発」でもない、当たり前の「営業センス」と「当たり前の商品開発」を確実にこなしています。こうすることで持続可能な地方の活性化につながる地域に信頼される特産品を生み出すことができると考えます。NPO法人河越抹茶の会代表の林さんが川越には何があると聞かれたら、「芋と抹茶がある」といわれることを目標にしていると話されていました。しっかりとした営業で着実に河越抹茶を使用する店舗を増やしています。
私自身、中国の雲南省の山に登ってしまったり杭州に何度も行ったり、さらには台湾ではご飯もろくに食べずお茶だけ飲みにいって5kgほど痩せて帰って来てしまったりするほどお茶が好きです。そのようなこともあって、10年前からひそかに応援し続けているのがこの、NPO法人河越抹茶の会です。ようやく連絡がとれて、この活動を調べるために茶農家さんにインタビューにいったり、河越抹茶の会の皆さんにデータを頂いたりと多くの協力も頂きました。その結果をもって、日本地域政策学会で発表することができました。今後も、さらに「勝手に」応援しようと考え、地域での経済効果なども調べてみたいと考えています。河越抹茶の会の皆さん、データのご協力ありがとうございました。これからも研究成果を発表することで河越茶を広めていきたいと思います。おいしいお茶をこれからもよろしくお願いします。

2020年1月

ケニアのスラム学校パソコンラボのプロジェクト/リッチー ザイン

現代政策学部は、政策学、法学、経済学、IT、福祉、文化など幅広い専門分野の教員から構成されています。研究論文や教科書ではない読みやすい形で、研究・教育の一端を毎月ご紹介させていただきます。
第3回はコミュニティ福祉 歴史、言語がご専門のリッチー ザインです。

2015年にアフリカに行きケニアのナイロビのThe Management University of Africa(アフリカ経営大学)を訪ねた時にコロゴチョという大きなスラム街Grapesyard School(グレープスヤード・スクール)学校に招待されました。グレープスヤード・スクールはNPO団体で、学生数は約1200人が在学している貧困地にあるNGO団体学校のため、ケニア政府より支援などがありません。この現状の中、教材、施設などは大変不足しており、とても苦難の状況下にある中で多く生徒の育成を行おうとしている団体です。そこで、貧困な子供たちの教育のために何か貢献することができるのではないかと考え、日本人にとっては不要なパソコンを回収し寄付することにしました。そこでいかにして支援できるかと考え、2016年に他の研究者達と共に同じ学校に渡り、当初はたった10台のパソコンを持ち込む活動から始まりました。そしてグレープスヤード・スクールでパソコンラボを立ち上げました。このパソコンラボでは、教室に接続環境が整っており、パソコンさえあれば、それだけ多くの生徒が授業を受けることが出来るような環境を準備しました。またサーバー(Raspberry Pi)に接続することによって、デジタル教科書が使用出来るようにしました。また翌年に再度戻り、台数を20台ほど増加し、より一層ラボの環境を改善しました。さらにナイロビのNGO団体グレープスヤード・スクールを支援するAcademic Supporting Korogocho(ASK)という団体も所属し、コロゴチョにある学校の教育支援の活動をしています。生徒たちが学ぶ環境を改善する共に、パソコンによって映像、動画、デジタル化されたテキストなどによって授業を提供すれば、より幅広く勉強することも出来、より可能性が生まれ、更に自由に学ぶことが可能です。パソコンで授業を行うことによって、同時にパソコンスキルを身につけることが出来、将来の就職活動にも役に立ち、未来のIT世界に貢献する可能性も高くなります。しかし、パソコンの台数が少ないので現在は限られたクラスの生徒しか触ることができないのが現状です。今年の夏に、現代政策学部の9名(1年生4人、3年生3人、4年生3人)が自分たちでパソコンを集めて、15台を現地に持って行き、直接学校に寄付しました。これによって、パソコンラボの台数は35台になり、より快適な勉強の場となりました。 しかし、このプロジェクトは完了した訳ではありません。今後の課題としては、まず、デジタル教科書をオープンソースにすることと、より学校のカリキュラムに適切なテキストを整えないといけません。また今後もパソコン台数を増やしたいと考えているので、不要なパソコンがあれば、私に声をかけてください。皆様のご協力をお願い致します。

スラム学校のシンポジウム

スラム学校の生徒と遊んでいる様子

2019年9月スラム学校のパソコンラボの風景

2019年12月

株主優待制度と企業のしたたかさ?/佐藤 純訟

現代政策学部は、政策学、法学、経済学、IT、福祉、文化など幅広い専門分野の教員から構成されています。研究論文や教科書ではない読みやすい形で、研究・教育の一端を毎月ご紹介させていただきます。
第2回は商事法(商法・会社法・手形小切手法)がご専門の佐藤純訟先生です。

企業が、顧客とは別に、株主に自社の商品購入や施設利用について株主優待制度を設けていることがあります。無料食事券、商品割引券、自社商品詰め合わせ、無料プロ野球観戦券、社会貢献活動団体への寄付等々、さまざまなものがあります。持株数や保有期間により異なりますが、たとえば、オリエンタルランドでは1デイ・パスポートが交付されます。みなさんのなかにも株主として、株主優待商品が届けられている人もいるのではないでしょうか?
リーマンショック以降、株主優待制度を廃止する企業もありましたが、近年は、漸次、導入企業は増加傾向にあります(右記事は毎日新聞 2014年12月8日)。

ところで、株主優待制度は、企業にとって財務負担となるし(商品の無償交付等)、会社法で強制されているわけでもありません(そもそも規定はありません)。
それにもかかわらず、導入企業が増加している主な理由として、次のことが考えられます。①株主本位であるというイメージ作り、②これに関連して、自社商品・サービスを知ってもらう、③資金調達の便宜、④M&A対策です。
①②はすぐにおかわりでしょう。③については、投資家が特に銘柄にこだわらなければ、株式購入の理由となるからです。

それでは、④について少し説明しましょう。
買収者が購入予定株式数(例えば、30%)を取得するには、当然、購入資金が必要となります。ところが、株主が容易に手放してくれなければ、さらに資金が必要になって、結局は頓挫するということにもなります。ある企業のアンケート調査によると、株主が株式を長期保有する理由として、「株主優待制度があるから」の回答が約70%もありました。また、トイザらスでは、業績悪化による財務負担から優待制度を廃止した結果、株価がストップ安となりました。株主優待制度の効果としての株式長期保有・株価の維持は、M&A対策となるのです。

「株主優待制度」
これには、企業のしたたかさがうかがわれます・・・

右の写真は、キューピーの株主優待商品です。
箱を開けてみると、商品の詰め合わせが・・・
持株数や保有期間によって、内容が変わることもあります。

2019年11月

かつての文化行政は今?/土屋 正臣

現代政策学部は、政策学、法学、経済学、IT、福祉、文化など幅広い専門分野の教員から構成されています。研究論文や教科書ではない読みやすい形で、研究・教育の一端を毎月ご紹介させていただきます。
第1回は文化政策がご専門の土屋先生です。

私の専門は文化政策である。今日の文化政策と言えば、文化活動の振興や文化による地域づくりなど、比較的目新しい政策として取り上げられることが多いかもしれない。しかし、その直接の淵源にさかのぼると、1970年代の地域政策に行き着く。1970年代の文化政策は革新自治体(主に革新政党の支持を受けた首長による行政運営)が主導してきた。都道府県レベルでいえば、兵庫県や神奈川県、そして埼玉県である。
当時、「行政の文化化」をキーワードに文化政策をリードしてきた畑和 埼玉県知事は、県行政として様々な文化に基づく施策を展開する一方、住民にもっとも身近な自治体である市町村の文化政策推進に注目していた。1980年代に埼玉県は、「埼玉県文化行政モデル市町村」として、嵐山町、狭山市、行田市、白岡町(当時)を指定し、市民参加による提言書の作成を促した。
このうち白岡町(当時)では、1980・1981年の2カ年にわたって、市民や有識者で構成された文化行政研究会が設置された。その議論の中で白岡駅自由通路に町民ミニギャラリー設置が提言され、実際に設置された。当時の感覚としては、個性的で、誰もが気軽に文化的な薫りに触れられるような斬新なアイディアであったに違いない。白岡駅は1976年に橋上駅舎化しており、その4年後にギャラリーが設置された。現在でも市民の創作活動の発表の場として親しまれている。設置から約40年が経過し、日常生活のなかに融け込んでいる。
ミニギャラリーは、今日の文化による都市の再開発やトリエンナーレなどのアートプロジェクトと比較すれば、文化政策としてはごく小さな取組みに過ぎないかもしれない。しかし、その背景には、市民の参加によって新たなまちづくりを模索する行政と、それに応えようとする市民の真摯な議論や提言があった。この流れは、当時の自治体経営を問い直す試みでもあった。その上で実現したギャラリーは、現在まで引き継がれ、今なお、そこに暮らす人々に意味や価値をもたらしているとすれば、当時の文化政策の意義は失われていないのではないだろうか。

現在の白岡駅ギャラリーの様子
(ウエルシア介護サービス(株)ホームページより)

〔引用・参考文献〕
  • 第二次白岡町文化行政研究会(1981)『展開と充実』
  • ウエルシア介護サービス(株)ホームページ
(https://www.welcia-kaigo.co.jp/news/白岡市市民ミニギャラリーに作品展示中%EF%BC%81/)
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