【薬学科(6年制)】 “見えない” “聞こえない” “動けない”を体験する意味とは?― 薬学概論 不自由体験授業レポート
「不自由体験」授業を実施しました(薬学概論)
城西大学薬学部薬学科では、1年生の必修授業「薬学概論」の一環として、6月10日(月)および6月24日(月)に「不自由体験」の授業を実施しました。
本授業は、医療人としての基本的な姿勢や共感力を育むことを目的に、高齢者や障がいをお持ちの方の視点に立ち、日常生活の中でどのような困難や不自由が生じているのかを体験的に学ぶものです。
◆ 体験内容
学生たちは小グループに分かれ、以下のいずれかの体験を行いました。
- 視覚障がい体験(全盲・弱視):アイマスクや視覚補助ゴーグルを用い、模擬薬局での移動や服薬確認などを体験。
- 聴覚障がい体験:イヤーマフや耳栓を装着したうえでの筆談、音声なしの映像視聴を通じ、聴覚情報の制限を実感。
- 車いす体験:校内を車いすで移動し、段差やドアの開閉、通路の幅など、物理的なバリアを自らの身体で体験。
また、当日は実際に視覚障がいや聴覚障がいをお持ちの方々をゲストにお迎えし、学生たちと意見交換を行いました。
参加されたのは、坂戸市視覚障害者の会 里見専次様、坂戸市聴力障害者の会 永井紀世彦様・青木瑠奈様で、それぞれの実体験に基づいた貴重なお話を共有いただきました。
◆ 学生の声と学び
体験後はグループディスカッションを行い、得られた気づきや感想をまとめて発表しました。
「ほんの少しの段差や文字の小ささが大きな障壁になることを体感した」
「介助する側のちょっとした声かけが相手の安心につながる」
「日常の中に潜むバリアを知り、薬剤師としてどう対応すべきか考えた」
このような感想が寄せられ、医療人として必要な「相手の立場で考える力」の醸成に繋がる学びの時間となりました。
◆ 薬学科からのメッセージ
薬剤師は「薬の専門家」であると同時に、「人に寄り添う医療人」でもあります。
城西大学薬学部薬学科では、6年間を通じて、薬を正しく「創る力」と「使う力」を学ぶだけでなく、患者さんの立場に立って考え、行動できる“人間力”の育成にも力を入れています。
今回の不自由体験授業は、その第一歩。医療を支える者として、相手の視点に立つことの大切さを実感し、共感力や思いやりをもった薬剤師へと成長していく土台を築く機会となりました。
私たちは、薬学の学びを通じて、地域や社会に貢献できる薬剤師の育成を今後も続けてまいります。
不自由体験授業の全体説明の様子
アイマスクを使用した視覚障がい(全盲)体験。服薬指導に挑戦。
イヤーマフや耳栓を用いた聴覚障がい体験。聴こえない環境下での筆談に取り組む学生たち。
弱視ゴーグルを装着し、色や形の判別の難しさを体感。
学生同士で協力しながら筆談。聴覚に制限がある中での伝え方を工夫。
校内を車いすで移動し、段差や通路幅の“バリア”を全身で実感。
グループでの振り返り作業の様子。体験を通じた気づきを共有。
学生同士で意見を出し合いながら、介助やコミュニケーションの在り方を考える。