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【薬学科(6年制)】学生の探究が薬の未来をひらく!卒業研究で難溶性成分の課題に挑戦


卒業研究の成果が国際誌に掲載されました!

MOF(CD-MOF)とγ-シクロデキストリンでステアリルグリチルレチネート(SG)の溶解性を改善

2025年10月22日 掲載(ACS Omega, Vol.10, No.43, pp.51545–51558)/ Open Access

薬学科6年生の大津晃輝さんが取り組んだ卒業研究では、 肌トラブルの外用剤などに使われる成分「ステアリルグリチルレチネート(SG)」 をテーマに研究を行いました。SGは体に良い働きが期待される一方で、 水にほとんど溶けないため、飲み薬として利用しにくいという大きな課題があります。 そこで学生は、近年ノーベル賞で話題となった新素材「MOF(金属有機構造体)」と、 γ-シクロデキストリン(γCD)を使い、SGを“包み込む”ことで 溶けやすくする方法に挑戦しました。 その結果、SGの溶けやすさを向上し、 将来の製剤化への可能性を広げる成果となりました。 最新素材と薬学の知識を融合させた先端的な卒業研究です。

【発表のポイント】

  • SG(ステアリルグリチルレチネート)をγ-シクロデキストリンおよびCD-MOF(サイクロデキストリン由来MOF)で包接し、溶解性を改善
  • 固体状態の解析(粉末X線回折・DSC ほか)により包接・非晶質化を確認
  • 消化管条件模擬液(FaSSIF)で溶解性の向上を実証
  • 完全溶解型を目指した製剤設計により、将来の経口剤開発に展開可能

学科の研究教育:課題発見力・問題解決力を鍛える

薬学科では、4年次前期から各研究室に配属され、まだ答えの得られていない課題に対して腰を据えた研究活動に取り組みます。実験・解析・考察のサイクルを通して、課題発見力と問題解決力を段階的に磨いていきます。

通常は4年次前期に所属研究室を決定し、卒業研究を本格始動。研究に強い興味があり、かつ成績上位の学生は希望により2年次から研究室に所属し、早期に卒業研究を開始することも可能です。

【論文情報】

タイトル: Inclusion Complexes of Stearyl Glycyrrhetinate with γ-Cyclodextrin and Cyclodextrin-Based Metal–Organic Frameworks: Solid-State Characterization and Improved Solubility in Fasted-State Simulated Intestinal Fluid
著者: Akiteru Ohtsu, Mione Uchimura, Junki Tomita, Yoshiyuki Ishida, Daisuke Nakata, Keiji Terao, Yutaka Inoue*
掲載誌: ACS Omega 2025, 10(43), 51545–51558(Open Access)
DOI: 10.1021/acsomega.5c07202

原著ページ:ACS PublicationsPubMed Central(OA)

※ 本記事の論文情報は掲載先の公式情報に基づいています。

記事提供:井上裕(薬学科主任)

記事掲載:間祐太朗


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