薬学部
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食品と医薬品(薬)の相互作用とは

 病院や薬局で薬を渡される際、あるいは自ら購入して薬を服用するときに、食前・食後・食間といった薬を飲むタイミングについて見たり聞いたりすると思います。なぜタイミングを考えて飲まなければいけないのでしょうか。これは、食事によって、薬の効果が変化すると考えられるからです。
 食事のタイミング以外に、食事の内容(高・低カロリー食、高・低脂質食など)、料理につかう食品(食材)などの要因でも変化します。これを食品と薬の相互作用といいます。ここでは、食品の役割、薬の役割を通して食品と薬の相互作用について解説していきます。

食品の役割

 多くの生物と同様に、私たち人間は、普段さまざまな食品を口から取り入れています。私たちはこれを「食事」と呼んでいますが、食品を生活活動のエネルギー源として利用するためには、食品を「栄養素」に変えなければなりません。
 
 食品を栄養素に変換して、身体に取り込む器官はおもに腸管ですが、この間に食品を様々な方法で栄養素に変えます。その後、栄養素は腸管から吸収され、血管やリンパ管を通って全身へと運ばれて目的の器官で栄養となります。
 
 このように、食品は体内で栄養素となるための「材料」と考えられていました。しかし、1984年の文部省(現文部科学省)特定研究プロジェクト「食品機能の系統的解析と展開」による報告から、食品には栄養素としての働き(一次機能)に加え、香りやおいしさを楽しむ嗜好性(二次機能)、さらには体調の調整や病気の予防につながる働き(三次機能)の3種類の機能があることが明らかになりました。

薬(医薬品)の役割

 薬は病気の治療や予防などのために使用するもので、多くは食べ物と同様に口から体内へ取り入れます。このため、薬は、栄養素と同様におもに腸管で取り込まれ、血管を通って全身の器官へと運ばれます。このような薬を「経口剤」と呼びます。しかし、食品とは異なり、血管などへ直接投与する「注射剤」など、体内への取りいれ方は色々です。いずれにしても、栄養素と薬に共通していることは、「血管を介して目的の器官に届け、目的の器官でそれぞれの役割を果たす」ことです。

食品と薬の相互作用

 目的とする器官に栄養素や薬を届けるまでの過程や、目的の器官に届いた後に栄養素や薬としての役割を果たすまでに、両者が一緒にいるとお互いに良くも悪くも影響し合います。これを食品と薬の相互作用と呼びます。
 
 これまであまり注目されてきませんでしたが、食事の内容や食品の種類が以前と比べて大きく変化してきたことから、食品と薬の相互作用に注意しなければいけないことがわかってきました。この相互作用は、食品と薬のそれぞれの視点で考えなければいけません。

食品が薬の役割に影響を与える場合

 薬が治療効果を発揮するためには、以下の2つが大切です。
①体内に適切な量があること
②体内の目的器官で適切に作用すること
 これらのバランスが崩れると、薬が治療効果を発揮できなくなり(主作用の減弱)、病気を悪化させます。逆に、治療を超えた薬の効果が発揮されると主作用が増強して、主作用にもとづいた身体への過剰反応や、通常は主作用に隠れている副作用が増強され、病気とは関係のない体調の変化を生じます。
 
①に影響する相互作用を「薬物動態学的相互作用」と呼びます。例えば、体内の食品(栄養素)によって、薬の血管への移行や各器官への輸送、体外への排出に影響を及ぼす場合がこれにあたります。
②に影響する相互作用を「薬力学的相互作用(薬理学的相互作用)」と呼びます。例えば、食品の中には薬と同じ、あるいは反対の効果を発揮する成分が含まれていることがあり、これらが目的の器官で同時に働くと、薬の治療効果を増強させる(協力作用)、もしくは減弱させる(拮抗作用)場合がこれにあたります。

薬が食品の役割に影響を与える場合

 薬が、食品の一次機能、二次機能さらに三次機能に影響を与えて、病気とは関係のない部分で生活活動に影響を及ぼす場合です。例えば、抗がん剤の使用による味覚の変化がこれにあたります。

薬物治療中に注意したい食品・食事内容

 私たちが普段口にする食品のほとんどは安全なものです。しかし、ここまでお話ししてきたように、体内で薬と食品(食品成分)が一緒になることで、薬の思わぬ効果が発揮されることも事実です
 
 ここでは、薬物治療中に共通して相互作用を生じやすい食品・食事内容を以下に示します。
■ アルコール
■ グレープフルーツ(ジュース)
■ 高脂肪食
■ 空腹時や食前・食後

最後に

 これら相互作用の詳しい情報については、本学のデータベースの他、下記書籍を参考にしてください。
 
1. データベース
食品-医薬品相互作用データベース
(城西大学 薬学部)

抗がん剤と食事の相互作用・禁忌食品データベース
(城西大学 薬学部)
 
「健康食品」の安全性・有効性情報
(国立健康・栄養研究所)https://hfnet.nih.go.jp/
 
 
2. 書籍
[食品と薬が相互作用を生じる仕組みに重点を置いた書籍]
やさしくわかりやすい 食品と薬の相互作用
城西大学薬学部医療栄養学科 編著
株式会社カザン/2007年出版
 
改訂版 医療・福祉介護者も知っておきたい 食と薬の相互作用
山本勝彦,山中克己
幸書房/2014年出版
 
[食品と薬の相互作用事例を幅広く扱う書籍]
ナチュラルメディシン・データベース 健康食品・サプリメント[成分]のすべて
日本医師会・日本薬剤師会・日本歯科医師会 総監修
田中平三, 門脇孝, 久代登志男, 篠塚和正, 山田和彦, 松本吉郎, 尾﨑治夫, 渡邉和久 監訳
同文書院/2017年出版
 
[抗がん剤と食事の組合せなど]
患者さん目線から考える がんの栄養・食事ガイドブック
松浦成昭,左近賢人 監修 矢島 雅彦,飯島 正平 編集
メディカルレビュー社/2017年出版
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