現代政策学部 Faculty of Contemporary Policy Studies

教員の独り言

現代政策学部の教員が、研究・教育の合間に日々考えていることをご紹介する教員コラムです。

2020年1月 ケニアのスラム学校パソコンラボのプロジェクト リッチー ザイン
現代政策学部は、政策学、法学、経済学、IT、福祉、文化など幅広い専門分野の教員から構成されています。研究論文や教科書ではない読みやすい形で、研究・教育の一端を毎月ご紹介させていただきます。
第3回はコミュニティ福祉 歴史、言語がご専門のリッチー ザインです。
2015年にアフリカに行きケニアのナイロビのThe Management University of Africa(アフリカ経営大学)を訪ねた時にコロゴチョという大きなスラム街Grapesyard School(グレープスヤード・スクール)学校に招待されました。グレープスヤード・スクールはNPO団体で、学生数は約1200人が在学している貧困地にあるNGO団体学校のため、ケニア政府より支援などがありません。この現状の中、教材、施設などは大変不足しており、とても苦難の状況下にある中で多く生徒の育成を行おうとしている団体です。そこで、貧困な子供たちの教育のために何か貢献することができるのではないかと考え、日本人にとっては不要なパソコンを回収し寄付することにしました。そこでいかにして支援できるかと考え、2016年に他の研究者達と共に同じ学校に渡り、当初はたった10台のパソコンを持ち込む活動から始まりました。そしてグレープスヤード・スクールでパソコンラボを立ち上げました。このパソコンラボでは、教室に接続環境が整っており、パソコンさえあれば、それだけ多くの生徒が授業を受けることが出来るような環境を準備しました。またサーバー(Raspberry Pi)に接続することによって、デジタル教科書が使用出来るようにしました。また翌年に再度戻り、台数を20台ほど増加し、より一層ラボの環境を改善しました。さらにナイロビのNGO団体グレープスヤード・スクールを支援するAcademic Supporting Korogocho(ASK)という団体も所属し、コロゴチョにある学校の教育支援の活動をしています。生徒たちが学ぶ環境を改善する共に、パソコンによって映像、動画、デジタル化されたテキストなどによって授業を提供すれば、より幅広く勉強することも出来、より可能性が生まれ、更に自由に学ぶことが可能です。パソコンで授業を行うことによって、同時にパソコンスキルを身につけることが出来、将来の就職活動にも役に立ち、未来のIT世界に貢献する可能性も高くなります。しかし、パソコンの台数が少ないので現在は限られたクラスの生徒しか触ることができないのが現状です。今年の夏に、現代政策学部の9名(1年生4人、3年生3人、4年生3人)が自分たちでパソコンを集めて、15台を現地に持って行き、直接学校に寄付しました。これによって、パソコンラボの台数は35台になり、より快適な勉強の場となりました。 しかし、このプロジェクトは完了した訳ではありません。今後の課題としては、まず、デジタル教科書をオープンソースにすることと、より学校のカリキュラムに適切なテキストを整えないといけません。また今後もパソコン台数を増やしたいと考えているので、不要なパソコンがあれば、私に声をかけてください。皆様のご協力をお願い致します。

 

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スラム学校のシンポジウム

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スラム学校の生徒と遊んでいる様子

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2019年9月スラム学校のパソコンラボの風景
2019年12月 株主優待制度と企業のしたたかさ? 佐藤純訟
現代政策学部は、政策学、法学、経済学、IT、福祉、文化など幅広い専門分野の教員から構成されています。研究論文や教科書ではない読みやすい形で、研究・教育の一端を毎月ご紹介させていただきます。
第2回は商事法(商法・会社法・手形小切手法)がご専門の佐藤純訟先生です。

企業が、顧客とは別に、株主に自社の商品購入や施設利用について株主優待制度を設けていることがあります。無料食事券、商品割引券、自社商品詰め合わせ、無料プロ野球観戦券、社会貢献活動団体への寄付等々、さまざまなものがあります。持株数や保有期間により異なりますが、たとえば、オリエンタルランドでは1デイ・パスポートが交付されます。みなさんのなかにも株主として、株主優待商品が届けられている人もいるのではないでしょうか?
リーマンショック以降、株主優待制度を廃止する企業もありましたが、近年は、漸次、導入企業は増加傾向にあります(右記事は毎日新聞 2014年12月8日)。

ところで、株主優待制度は、企業にとって財務負担となるし(商品の無償交付等)、会社法で強制されているわけでもありません(そもそも規定はありません)。
それにもかかわらず、導入企業が増加している主な理由として、次のことが考えられます。①株主本位であるというイメージ作り、②これに関連して、自社商品・サービスを知ってもらう、③資金調達の便宜、④M&A対策です。
①②はすぐにおかわりでしょう。③については、投資家が特に銘柄にこだわらなければ、株式購入の理由となるからです。

優待花盛り

それでは、④について少し説明しましょう。
買収者が購入予定株式数(例えば、30%)を取得するには、当然、購入資金が必要となります。ところが、株主が容易に手放してくれなければ、さらに資金が必要になって、結局は頓挫するということにもなります。ある企業のアンケート調査によると、株主が株式を長期保有する理由として、「株主優待制度があるから」の回答が約70%もありました。また、トイザらスでは、業績悪化による財務負担から優待制度を廃止した結果、株価がストップ安となりました。株主優待制度の効果としての株式長期保有・株価の維持は、M&A対策となるのです。

「株主優待制度」
これには、企業のしたたかさがうかがわれます・・・

右の写真は、キューピーの株主優待商品です。
箱を開けてみると、商品の詰め合わせが・・・
持株数や保有期間によって、内容が変わることもあります。

キューピー

  ワクワク・・・
  箱を開けてみて
2019年11月 かつての文化行政は今? 土屋正臣
現代政策学部は、政策学、法学、経済学、IT、福祉、文化など幅広い専門分野の教員から構成されています。研究論文や教科書ではない読みやすい形で、研究・教育の一端を毎月ご紹介させていただきます。
第1回は文化政策がご専門の土屋先生です。
私の専門は文化政策である。今日の文化政策と言えば、文化活動の振興や文化による地域づくりなど、比較的目新しい政策として取り上げられることが多いかもしれない。しかし、その直接の淵源にさかのぼると、1970年代の地域政策に行き着く。1970年代の文化政策は革新自治体(主に革新政党の支持を受けた首長による行政運営)が主導してきた。都道府県レベルでいえば、兵庫県や神奈川県、そして埼玉県である。
当時、「行政の文化化」をキーワードに文化政策をリードしてきた畑和 埼玉県知事は、県行政として様々な文化に基づく施策を展開する一方、住民にもっとも身近な自治体である市町村の文化政策推進に注目していた。1980年代に埼玉県は、「埼玉県文化行政モデル市町村」として、嵐山町、狭山市、行田市、白岡町(当時)を指定し、市民参加による提言書の作成を促した。
このうち白岡町(当時)では、1980・1981年の2カ年にわたって、市民や有識者で構成された文化行政研究会が設置された。その議論の中で白岡駅自由通路に町民ミニギャラリー設置が提言され、実際に設置された。当時の感覚としては、個性的で、誰もが気軽に文化的な薫りに触れられるような斬新なアイディアであったに違いない。白岡駅は1976年に橋上駅舎化しており、その4年後にギャラリーが設置された。現在でも市民の創作活動の発表の場として親しまれている。設置から約40年が経過し、日常生活のなかに融け込んでいる。
ミニギャラリーは、今日の文化による都市の再開発やトリエンナーレなどのアートプロジェクトと比較すれば、文化政策としてはごく小さな取組みに過ぎないかもしれない。しかし、その背景には、市民の参加によって新たなまちづくりを模索する行政と、それに応えようとする市民の真摯な議論や提言があった。この流れは、当時の自治体経営を問い直す試みでもあった。その上で実現したギャラリーは、現在まで引き継がれ、今なお、そこに暮らす人々に意味や価値をもたらしているとすれば、当時の文化政策の意義は失われていないのではないだろうか。

 
〔引用・参考文献〕
・第二次白岡町文化行政研究会(1981)『展開と充実』
・ウエルシア介護サービス㈱HP
(https://www.welcia-kaigo.co.jp/news/白岡市市民ミニギャラリーに作品展示中%EF%BC%81/)

白岡駅ギャラリー②

現在の白岡駅ギャラリーの様子
ウエルシア介護サービス㈱HPより)

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