理学部数学科

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坂戸キャンパスでは純粋数学の基幹をなす代数・幾何・解析の各領域について、さらに深く探究し、かつ新しい理論を構築する基礎研究が行われるとともに、統計学や情報学といった応用数学の分野でも、社会実用につながる最先端の研究が進められています。学生はしっかりと大学数学の基礎を学んだうえで、2年次後期から3年次にかけて専門分野に足を踏み入れ、先生方の最新研究に触れながら自らの研究を深めていきます。ここでは坂戸キャンパスの豊富な「数学知」の集積から、2人の先生の研究を紹介します。

Special Interview 1
応用数学・コンピュータ科学分野
統計学専門 清水 優祐 助教

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●データを解析して基準を定める面白さ

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◆FOCUS◆ 過去から現在、
      未来を扱う研究を通して社会に貢献

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私の研究テーマは、時系列データを用いた数理モデルの逐次型推定です。現在は、確率微分方程式の推定に用いられる高頻度従属データの一種である株式市場のデータから、株価変動の背後にある数学的なモデルを特定する研究に取り組んでいます。さまざまなアプローチがあるなかで、私が考案しているのはオンライン型の推定手法です。従来の研究では、「最適化」を行うには過去のデータまで扱う必要があり、次第に計算負荷が高まりますが、オンライン型では過去データも考慮した“推定の方程式”をあらかじめ用意することで、新しいデータの
みをリアルタイムに取り入れてどんどんアップデートすることができます。株価予測をはじめ広く適用できる理論を構築しています。
ポイント1
秒単位で刻々と変わる時系列データのオンライン予測を研究。従来のバッチ処理では最適化の次元が増えると計算負荷がかかるが、オンライン予測では変数を用いることで負荷の低減と精度の向上が期待できる。将来の株価を予測する、新しいモジュールやツールの開発などにつながる理論を組み立てている。

ポイント2
統計学とは株価予測、気象変動、経済の動向など、あらゆる現象におけるデータを数値化する学問。数値化に用いるアプローチはひとつではなく、それぞれのデータの特性によっても適切な手法があるため、研究ではそれを開発することが醍醐味。

ポイント3
株価予測のほか、地域の人口減少、大災害への備えなど社会的な課題の解決にも応用数学は役立っている。数理モデルにより「将来はこうなる」という数値的な根拠を示すことで正しい現状認識を促し、早くから施策を講じるなど意思決定に用いられる。

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学生が研究した人口データのProphet解析による精度を他のモデルを比較したグラフ。1973年から2019年の埼玉県さいたま市の人口データを学習データとして解析し、その後24か月の人口を予測して現実のデータと比較した。結果は既存のモデルより精度が向上。

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膨大なテキストデータから有益な情報を取り出すテキストマイニングにも統計学や機械学習が使われている。図はデータ分析が得意なプログラミング言語・Pythonを用いて、学生が『我が輩は猫である』の冒頭の文章を解析したもの。

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◆FOCUS◆ いま最もアツい
        「Python」を使って自由に研究

数学というのはやはり難しい学問で、誰でもすぐにできるようにはなりません。なかには授業についていけずに悩む学生もいますので、一人ひとりに合った学びの方向性を提案したり、ひとつの分野を集中的に学ばせたりと、きめ細かくケアしています。楽しく学ぶのが一番ですからね。一方、統計学のセミナーでは毎年、学生たちが興味のあることを自由に研究します。最近はICT系の就職を希望する学生が多いことから、プログラミングに慣れるため、いま最もホットなプログラミング言語であるPythonを用いて、「Pythonでできること」の研究に取り組んでいます。セミナー生がそれぞれ主体的にテーマを見つけ、時にはみんなで活発に議論しています。
「Pythonでできること」学生の研究例

オセロの盤面の作成
PythonからGUIを構築・操作するための標準ライブラリであるTkinterを用いてオセロの盤面と駒を作成。システムの最適化を行い、画像データと得点を関連させるとともに、最も高得点のマスには微分を用いるなど数学を使っている。

条件分岐型診断プログラム
例として「アウトドア派かインドア派か」を設定し、3つの質問にYESかNOで答えると診断結果が出るプログラムを作成。アルゴリズムにより答えた内容にしたがって質問が変化していく条件分岐型になっている。背景にある学問としては統計学を使用。

一筆書きゲーム
桜の花びらのアイコンを動かして、一筆書きで全ての通路をピンク色で塗ればクリアするというプログラムを作成。操作はキーボードの矢印キーを用いて簡便化を図った。クリア後は次のステージに自動的に進む。今回は7ステージまで設定した。
 

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◆FOCUS◆ ゆったり、のびのび過ごせる学びの環境

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Special Interview 2はこちらから
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