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Vol. 1 薬局でのしごと編


*はじめに

みなさんは、薬学部(6年制薬剤師養成課程)を卒業した後の進路として、何を思い浮かべるでしょうか。薬局や病院で見かける薬剤師さんでしょうか。でも、実際の薬剤師さんのお仕事って・・・意外と知られていない様に思います。薬局では?病院では?それ以外に活躍する場ってあるの?意外に知らない事ばかりかもしれません。
そこでここでは、なりたい職業ランキング1)上位に位置する「薬剤師」のお仕事や、薬学部卒業後の薬局や病院以外の進路についても紹介していきます。連載企画「薬剤師のしごと」第1弾として、今回は薬局での仕事を中心に紹介します。みなさんの進路選択や職業調べの参考になれば幸いです。

1) https://manabi.benesse.ne.jp/shokugaku/jobranking/naritai/(なりたい職業ランキング | 職業ランキング | マナビジョン|Benesse)
360°VR "やくざいし" 体験
360°VR”薬剤師”体験動画です。知っていそうで知らない、薬剤師の仕事について紹介します。VRでの視聴も可能ですが、VRゴーグルがない場合は、360°動画として視聴可能です。いろいろと視点を変えながら、見てみてください。(再生時間:約3分)

*薬剤師のしごと

現状
【働く場所】
まず、薬剤師が働いている場所は大きく分けて、病院・診療所、調剤薬局(保険薬局、地域薬局)、ドラックストア、製薬会社などがあります。
それぞれの職場で働き方や働く時間は異なります(当直を行う病院もありますし、24時間患者さんからの電話に対応している調剤薬局もあります)が、全ての薬剤師が薬の専門家として、患者さんのために仕事をしています。

【人数】
日本の薬剤師数は約30万人で、その半分以上(総数の57%)が調剤薬局で働いています2)。また、日本の私立大学薬学部の約50%の卒業生がドラックストアを含む調剤薬局に就職しています3)
2) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/18/dl/kekka-3.pdf(2018年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況)
3)一般社団法人 日本私立薬科大学協会編 6年制薬科ガイド2021 p.44

*薬局でのしごと

調剤薬局では、その名の通り主に調剤を仕事として行っています。
“調剤”とは、狭い意味では、処方せんに書かれている薬を処方(オーダー)通りに、準備することを意味します。通常、薬を間違えないように複数人で何度も確認をしながら調剤をします。“調剤”には、錠剤の取り揃えだけではなく、複数の錠剤を飲みやすいように一包にまとめたり、粉薬や水薬(シロップ)を正確に測り取ったり(計算する)、軟膏を混ぜたりすることも含まれます。日本で使用できる薬の種類はとても多く(約14,000品目)、患者さんの状態によって使用する量も異なるため、正確に薬を準備するだけでも大変な作業です。しかし、最近は薬局でも機械化が進んでいるので、昔よりは狭い意味での“調剤”は簡便になったかもしれません。

また、現在の調剤薬局では狭い意味の“調剤”だけをしているわけではありません。もっと広い意味の“調剤”をしています。広い意味での“調剤”とは、①処方(オーダー)された薬が患者さんの体質や病気に合っているかをチェックする(患者情報の収集)、②薬の量や使い方が間違っていないかをチェックする(処方監査)、③場合によっては医師へ質問をする(疑義照会)、④患者さんへ薬の飲み方や使い方、効果や副作用を説明する(服薬指導)、⑤薬が効いているのか、副作用がでていないかをチェックする(患者モニタリング)、⑥患者さんの状態を医師や他の医療スタッフへ連絡する(フィードバック)、⑦患者さんの使用している薬の記録をつける(薬歴管理)、これら全ての過程を指しています。

あなたが調剤薬局に行ったときに、薬剤師から体調やアレルギー、生活スタイルを聞かれたことはありませんか?これらのことを聞くことで、調剤薬局の薬剤師は薬の量や飲み方があなたに合っているのか、本当にあなたの症状を改善するために必要な薬なのかなどを確認しています。また、薬の効果や副作用を伝えることで、間違えずに薬を飲んでもらい、万が一副作用が発生しても早く気がつくことができる様に取り組んでいます。さらに、これまでにあなたがいつ、どんな薬を飲んでいたのかを「お薬手帳」に記録しているため、旅行先で急に体調が悪くなって病院へ行った時でも、薬の記録が病院の医師へ伝わり、スムースな治療へと繋がります。なかなか表には現れない「unsung(アンサング)」な仕事ですが、非常に重要な仕事です!!
(厚生労働省 令和元年度「薬と健康の週間」のポスターに採用されている薬剤師の漫画にも「アンサング」という名前がついていますね。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07205.html)

また、患者さんに対してだけでなく、地域に住む病気でない方たちやお年寄りの方たちに健康な状態でいてもらうために、よりよい健康環境づくりを栄養の面から支援することも薬局の薬剤師のとても重要な仕事です。もちろん、薬剤師は薬を使っている患者さんに対しても、患者さんの治療やライフスタイルにあった食事のアドバイスを行います。薬と同じく、食事の栄養成分も化学物質として捉え、さらに互いが及ぼす影響について総合的に考えながら、薬剤師は患者さんに提案します。
(城西大学薬学部6年制薬剤師養成課程で行っている食と栄養に強い薬剤師を育てる取り組み→https://www.josai.ac.jp/pharmacy/pharm6_dep/eiyou/

調剤薬局の薬剤師さんの仕事が少し見えてきましたか??
今回は、薬局薬剤師の仕事について紹介してきました。ここまで読んでくださったみなさんは、少なからず薬学部に興味を持っている方でしょう。薬学部で薬について学ぶと、薬局や病院さらにはその他のさまざまな場所で活躍する機会が待っています。このページが、みなさんの将来へのイメージ作りにお役に立てれば幸い、と思い続けて掲載する予定です。
次回は病院薬剤師の仕事について紹介していきたいと思います!乞うご期待!

薬剤師の様々なしごとについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの動画もどうぞ。
(『こんなトコロでも活躍!~城西薬学部の先輩たち~』
https://www.josai.ac.jp/pharmacy/katsuyaku/